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今年もアカデミー賞の季節に入って楽しみだ。
それは時代を写す鏡としての役割を担っている。
ハリウッドのメジャープロダクションの大作が影をひそめ、
インディペンダント系の問題作が多く候補にあがっているのがうれしい。
本命の「ブロークバック・マウンテン」ではこれまでの映画で男らしさの象徴としてしか扱われてこなかったカウボーイの同性愛的な面が描かれたのは時代ということか。
対抗の「クラッシュ」はロサンジェルスで事故にかかわった人々の群衆劇。
ロサンジェルスでは夜中に町中で撮影が行われることがよくあった。
ばかでかいライトがドカンと置かれていて夜空を照らしていて驚いたものだ。
ロサンジェルスは市民が協力的で町でロケができるのが強い。
インディペンダント系にはこういう作品が合っているので受章の期待が大きい。
穴の「カポーティ」は「ティファニーで朝食を」で一世を風靡した作家、トルーマン・カポーティの「冷血」執筆にかかわる作品。「ティファニーで朝食を」のようなしゃれた雰囲気の作品の作者としてしか知らなかった当時のわたしにとって凄惨な犯罪実録小説「冷血」は衝撃的だった。作家カポーティは今回かれ自身が人々の興味をそそる 題材となった。
大穴「グッドナイト&グッドラック」はマッカーシー議員による赤狩りの時代を描いている。
1951年、赤狩り「マッカーシー旋風」によってハリウッド映画関係者324人が共産主義者の疑いで解雇され、
映画俳優ギルド議長ロナルド・レーガン(のちの大統領)は情報をFBIに報告した。
「エデンの東」の監督エリア・カザンは議会での証言でリリアン・ヘルマン,ダシール・ハメット,クリフォード・オデッツ,パメラ・ミラー,モリス・カルノフスキー,フェオブ・ブランド,トニー・クレーバーらを共産主義者と名指した。以来、かれは後の人生を裏切り者として生きることになった。辛い人生だっただろう。
1998年、アカデミー賞生涯功労賞受賞が決定した時、
リチャード・ドレイファスらは反対表明し、会場ではかれの過去の「裏切り」に対して観衆の半数近くが拍手や起立しなかった。「赤狩り」はアメリカにとってもハリウッドにとっても辛い記憶である。
今もひりつく痛みが残っている。時間が癒しきるまでどれぐらいかかるのだろうか。はたしてどの作品が一番この時代を写す鏡とされるのか。
fumio
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