北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
近鉄奈良線で近鉄奈良駅まで乗車した。大阪から来る快速電車はどの車両にもそれなりの乗客が均等に座っている。準急/普通電車になると平日だからか1車両に10名未満の乗客だけでソーシャルディスタンスは十分に取れる状態である。-----
近鉄奈良駅のコンコースは改札の中も外も閑散としている。もう土産物店は開店しているがお客は全くいなかった。-----
近鉄駅ビル1階の観光案内所も暇そうに見えた。行基広場の噴水の周りにいた托鉢(たくはつ)僧もいない。東向き商店街に入ると、時分時(じぶんどき)であったのか、道端でお弁当を売る店が多かった。年初までのインバウンドの観光客はいないし、国内観光客も修学旅行生もいない。------
東向き商店街の途中にある写真館の脇を左折して興福寺境内に歩を進めた。登りきると西金堂跡の前にでるのだが、無心に草を食(は)む鹿に早速に遭遇した。-----
中金堂の周囲を反時計回りに歩いて東金堂の前に向かった。五重塔の前で鹿せんべいを売る露店が休業のためか、鹿がいない。興福寺境内には三々五々のパラパラ程度だが観光客がいた。国宝館の脇に行くと、1頭の鹿が人懐っこそうに此方を見るので、興福寺北参道に見える鹿せんべいの露店で鹿せんべいを買った。早速にそこにいた数頭の鹿が鹿せんべいを強請(ねだ)りに来た。2枚だけ残して、国宝館側に戻り、先ほどの人懐っこい鹿に与えた。その間、あっという間だったので、もう一度鹿せんべいを求めた。今度は、買うが早いか露店に屯(たむろ)する数頭の鹿が、先ほどよりも遠慮なく、鹿せんべいを咬み付かんばかりに強奪(ごうだつ)するのだった。------
インバウンドが戻るまで、奈良県北中部のベッドタウンに住む100万人の県民のうちの退役/退職した年金生活者は、土日祝日ではなく、平日に奈良公園を訪れることを日課にしては如何だろうか。カフェでお茶をし、お昼を食べるのもよい。是非、干上がりそうな観光業界へのお湿(しめ)りになって欲しいものだと思った。