奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1393)

2020-06-16 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「学校に入り込むニセ科学(左巻健男著・平凡社新書2019刊)」を読んだ。左巻健男(さまきたけお1949生れ)氏は、千葉大(教育学部)卒、東京学芸大学大学院(教育学研究科)修士課程修了。専門は理科教育。東大教育学部付属中高教諭、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学/法政大学教授を務めた。“Rika Tan(理科の探検)”編集長を任じている。-----

章立ては次の通り。“ニセ科学はなぜ危険か(科学を学ぶことの意味/ニセ科学と教育/ニセ科学と教員/人間ピラミッドに見る感動主義)”、“ニセ科学に危機感を持った(言葉で水の結晶が変わる/水伝を否定的に扱ったテレビ)”、“学校や環境活動に忍び込むEM(EMとは/EM利用中止を求める署名活動/文部科学省の見解は補助教材/EMの3大危険性/EMの授業例/EM信者の校長によるEM使用例/比嘉氏のEM神様説を支える科学者)”、“学校にニセ科学を持ち込んだ右翼教育団体”、“脳をめぐるニセ科学(脳についての知識/神経神話に注意/親学の脳科学はニセ医学ニセ科学/ゲームをやり過ぎるとゲーム脳になる/ヘビの脳ネコの脳ヒトの脳といじめ/悪いことで脳から毒/脳内革命に影響された授業/脳トレは効果があるのか)”、“食育をめぐるニセ科学”、“子どもたちを原発の旗振り役に”、“他にもいろいろニセ科学”、“ニセ科学に騙されないようにするために”-----

30年間の“ゆとり教育時代(1980~2010)”の悪影響が理科教育の今に及んでいる。現在は“脱ゆとり教育(2011~)”に漸く転向し、高校理科に移動していた項目が中学理科の教科書に戻ってはいる。教科内容が旧に復されても教える側の教員がゆとり教育で育っているために、ニセ科学に洗脳され易くことは単純ではないと左巻健男氏は嘆いておられる。------

文系人士の跳梁跋扈や、科学立国を担う人材の枯渇により、日本経済の凋落は止めようもなくなっている。アメリカを買えるほどの繁栄に沸いた頃の日本が考え出したゆとり教育の狙いは悪くなかったのだろうが、グローバル化する世界ではピント外れの感があり、実施段階でどこか間違ってしまったと識者は言うが、そんな反省で済まされるものではない。でも犯した過ちは訂正せねばならないし、その努力は続けなければならない。その悪戦苦闘の一部をこの本では紹介されているのだ。------

イノベーションを担う理科教育を蔑(ないがしろ)にした附(つ)けは、“読み書き算盤”だけの人材で穴埋めは出来ないのだ。

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