奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1062)

2019-07-22 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「原発に挑んだ裁判官(磯村健太郎&山口栄二共著・朝日文庫2019刊/2013の増補改訂版)」を読んだ。磯村健太郎(いそむらけんたろう1960生れ)氏は、朝日新聞記者で、サンパウロ/ローマ支局長を務めた。山口栄二(やまぐちえいじ1956生れ)氏は、朝日新聞記者で、社会部/司法担当、週刊朝日副編集長などを務めた。-----

「原発に挑んだ裁判官」は、原発訴訟を担当し、運転中の原発を運転差し止め判決で停止させた当該裁判官にインタビューして、司法と原発の関係を鮮やかに浮かび上がらせている稀有な本である。普通、裁判官は担当した裁判の内実に付いて口を開かないそうだが、例え既に退官されているとはいえ、インタビューに答えているのは大変誠実な人であるのだなと思わざるを得ない。原子力開発という国策に司法の面から、“行政サイドの規制が甘いので、運転させられない”という判決を言い渡すのは勇気が要っただろうが、ほんの少数にしてもこのような裁判官のおられることは、日本の司法も捨てたものではないと、磯村健太郎氏と山口栄二氏は褒めたたえるのである。-----

裁判官が文系人士の代表的な存在であることから、理系の自然科学に疎い筈であり、その学問的な内容を理解できるとは通常は考えないのだが、敢えて運転差し止め判決を出した裁判官はその自然科学の領域に踏み込んだとインタビューでは白状している。本当に理解できているのかは定かでないが、またインタビューしている記者も文系人士の代表みたいなものなので、原子力村の大先生たちが原子力の安全神話を語ってきた歴史があるにしても、それを揶揄する能力は科学的な素養のない裁判官や新聞記者であってみれば無理とも云えるのだが、この本ではそのような悲観的な口上は皆無である。従って東日本大震災で原発はシビアアクシデントを起こしたのだから、全部ダメだと言っているに過ぎないことを読者は注意して読む必要があるだろうと思った。その他日本の最高裁の内部事情の調査などは秀逸な叙述があり、とても参考になるとその面では良い本だと思った。

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