北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「10年たっても色褪せない旅の書き方(轡田隆史著・PHP新書2015刊)」を読んだ。轡田隆史(くつわだたかし1936生れ)氏は、早大(政経)卒で、朝日新聞に入社し、論説委員などを務めて、1999年退社した。----
「10年たっても色褪せない旅の書き方」は、新聞記者の目から見た紀行文の書き方を述べた本である。轡田隆史氏ご本人が旅行をいまだに楽しんでおられるのは、サッカーの趣味もおありで、単なる文系人士でなく体育会系の要素を多分にお持ちで健康体であられるからのようだ。----
新聞記事は他人に読んで貰える文を書くことが優先されるので、そのコツを紀行文に活かして、他人が読み易く引き込まれる銘文に仕立てる手立てを述べているのだ。でも轡田隆史氏自身の例文を読んで本当に魅了されるかどうかは、この本の読後に答えが出ると言う訳である。自信満々の轡田隆史氏だが、中々に現代の紀貫之にはなれそうもない。-----
傘寿を前にして出された本であり、轡田隆史ファンでないととても読み通せないレベルの本だと思った。編集者の校正が一切なく纏まりのない本になっていて、ネタはそれほど悪くはないのだが、残念な仕上がりだと思った。代表作に“岩波ジュニア新書/小論文に強くなる”がある。これならば記者の特質を如何なく発揮できるので、ぴったりの執筆人選となっていると思った。