奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1045)

2019-07-05 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「アメリカ細密バス旅行(城山三郎著・文春文庫1984刊/1967版の増補文庫化)」を読んだ。城山三郎(しろやまさぶろう1927~2007)氏は、戦中海軍練習生となっていた。戦後は現/一橋大学卒業し、愛知学芸大学で講師をするうち、1959年、“総会屋錦城”で直木賞を受賞した。-----

「アメリカ細密バス旅行」は、城山三郎氏の1967年(サンフランシスコ~アメリカ一周、4ヶ月所要)と1972年(アメリカ大陸を西から東へ横断、さらに南部へ縦断)の2回のバス旅行を題材とした紀行本である。メキシコやカナダにも越境しているが、99日間使い放題のバスのフリーチケットを使ってかなり長期の旅行であり、時間も掛かるが勿論、ルート上の安宿にも宿泊して、黒人ベルトを物ともせずに、バスでアメリカ大陸を走破しているのである。-----

今から丁度半世紀前のアメリカの様子が克明に描かれているので、その後の50年を経たアメリカの変容ぶりを知っている現在の読者の目から見ると、当時の城山三郎の抱いたアメリカ観が、そのままに続いている訳ではなくて、アメリカ経済が低迷するなどとはとても考えられない繁栄の中にあったアメリカ社会の豊かさが各ページに描かれているのが、既に信じられない若い世代もいるに違いない。----

ヒッピーの説明も、ベトナム戦争(1964~1973)を知らない世代にはもう理解出来ない事かも知れない。白人の貧困層が増大したラストベルトなど存在しない、シカゴなどの自動車産業の最盛期のアメリカであり、ヒューストンの石油産業も四日市と同じく大気汚染は酷かったようだが、未だそれ程に環境問題も起きていなかった時代なのであった。きっとアメリカの地理歴史を学習する際の参考書としても「アメリカ細密バス旅行」は古典として残るだろうと思った。経済小説を書いた作家の目を通したアメリカは本当によく見据えて描かれていると思った。-----

田中小実昌(たなかこみまさ1925~2000)氏の解説付きである処も良い。

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