北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「中国人のこころ~ことばからみる思考と感覚(小野秀樹著・集英社新書2018刊)」を読んだ。小野秀樹(おのひでき1964生れ)氏は、神戸大学大学院(文学研究科)修了で、現在は東大教授である。専門は現代中国語の文法論とのこと。NHKラジオ“まいにち中国語”の講師を務めたこともある。-----
「中国人のこころ」は、小野秀樹氏が中国語の研究生活を数十年続ける中で、気付いたと言う“言語のもつ感覚”を事例を上げまくって解説している本である。何か大切なことが書かれているかと期待する向きにはお薦め出来ないが、語学の文法の本は嫌いだが、中国語を日本語と比較した時に浮かび上がってくる中国人の考え方の具体像を知りたいと思う方には良い本なのだろう。しかしながら体系的著述でもなく、東大教授としての流石と思わせる内容でもなく、要約して考えれば、中国人の方が日本人よりも現実的で実利主義であることが平均的には見えてくると云った類の論ばかりである。-----
そうそう簡単には“シェシェ”とは云わないとか、“苗字を直接には呼ばないとか”、“会話が喧嘩に聞こえる”とか云った他愛のない事例ばかりであり、よくこのような本が出版されたものだと感心するのだが、良く考えてみれば現代中国語の日本人研究者が東大なら一人くらいいても不思議ではないのだと理解すれば許されるのだろうか。本当に中身の何もない本であると思った。著者が現役東大教授でなければとても許されない代物と思えた。