道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

Manon Lescaut(新国立劇場・渋谷区本町)

2015年03月16日 | オペラ道楽
新国立劇場にマノン・レスコーを見に行きました。
新国立劇場は本来,この作品を2011年3月に上演する予定であったようなのですが,東日本大震災のために上演中止となり,今回主要キャストを4年前と同じメンバーで上演するのだそうです。
このような経緯からか新国立劇場も妙に気合いが入っているようです。

マノン・レスコーはアベ・プレヴォーの長編小説「騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語」(Histoire du chevalier Des Grieux et de Manon Lescaut )を原作とするもので,このテーマはよく知られた存在で,マスネも「マノン」という題名でオペラを制作しています(こちらは,以前にブログでも書きましたが,ナタリー・デセイ主演のオペラで見ました。)。
今回のオペラの演出は,ベルリンDeutsche Oper、ミラノ・スカラ座、ヴェローナ野外劇場、パリ・オペラ座、バルセロナのリセウ劇場などで活躍し,新国立劇場でも「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」を手がけた巨匠ジルベール・デフロ(Gilbert Deflo)で,舞台装置,小道具,衣装などもベルリンのDeutsche Operのものとのことです。
演出は白を基調として舞台を構成し,第1幕目のアミアンの旅籠,第2幕目のパリの屋敷の明るい場面を構成しています。それが一転して第3幕目では光の乏しい暗い場面,第4幕目の赤茶けた荒野の場面に変わっていきます。
第2幕目のマノンの金色のドレス,鏡とベッドの演出などとても興味深く見ました。
オケも今回はやや人数の多い構成でしょうか。音楽の美しいオペラですので,オケが重要ですが,今回は手堅く演奏したように思います。
主要キャスト,特にマノンとデ・クリューの歌もとても良かったように思います。舞台の美しさ,音楽と調和して素晴らしく思われました。また,ジェロント役の歌手の奇怪なメイクと奇怪な動きも面白く思われました。本当に演技派です。


【指揮】ピエール・ジョルジョ・モランディ(Pier Giorgio Morandi)
【演出】ジルベール・デフロ(Gilbert Deflo)
【マノン・レスコー】スヴェトラ・ヴァッシレヴァ(Svetla Vassileva)
【デ・グリュー】グスターヴォ・ポルタ(Gustavo Porta)
【レスコー】ダリボール・イェニス(Dalibor Jenis)
【ジェロント】妻屋秀和(Tsumaya Hidekazu)
【エドモンド】望月哲也(Mochizuki Tetsuya)


あらすじ
【第1幕】アミアンの旅籠屋の中庭は大勢の人で賑わっている。騎士デ・グリューがその場にたたずんでいると、乗合馬車が到着し、美しい少女マノンが降りてくる。彼女は兄レスコーに連れられ、修道院に入る道中だったが、デ・グリューは彼女に一目惚れ。マノンも彼に対して悪い気はしていない。しかし馬車に一緒に乗っていた大臣ジェロントもマノンを気に入り、彼女を連れ去ろうと企んでいた。その計画を知ったデ・グリューはマノンに一緒に逃げるよう誘い、またマノンも修道院に入りたくないため、2人でパリへの逃避行へと旅立つ。
【第2幕】贅沢好きなマノンはデ・グリューとの貧乏暮らしが耐えられず、結局ジェロントの愛人になり、豪勢に生活している。しかし愛のない暮らしに心が満たされず、贅沢な生活にも飽きている。そんなとき館にデ・グリューがやってくる。どうして自分を捨てたのか、君なしでは生きていけないと熱烈に迫るデ・グリューに、マノンも再び心に愛の炎を灯す。2人は抱き合うが、その場にジェロントが帰宅。マノンはジェロントの老いを馬鹿にする。怒ったジェロントは警察を呼ぶ。2人は逃げるが、宝石に執着して出遅れたマノンは捕まってしまう。
【第3幕】ル・アーヴルの港。ニューオーリンズへ流刑される囚人たちが捕らえられている。レスコーとデ・グリューはマノンを取り戻そうと奔走するが、計画は失敗。デ・グリューは、何でも仕事をするから自分もニューオーリンズに連れていってほしい、と涙ながらに看守に頼む。願いは聞き入れられ、彼も船に乗り込む。
【第4幕】ニューオーリンズ。不祥事を起こして居留地を逃げ出すマノンとデ・グリュー。荒野をさまよい歩くが、マノンの体力は衰え、もう動くことができない。マノンはデ・グリューへの愛を語り、水を求め、息絶える。