Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

月とノーベル賞

2017年10月06日 | 


カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を取られたニュースで、昨夜は大騒ぎ。
私は別に大フアンではないけれども
普通に楽しんで読んでいた本の作者がノーベル賞を取ったという、珍しい例です。
今までの海外のノーベル文学賞受賞者は、馴染みのない、取りつきにくい作家という感じが多かったので。

「日の名残り」「わたしを離さないで」以前、本を読んでから映画を観ました。
どちらも、本の世界をそのまま映像化することに成功した珍しい作品であると言えると思います。
原作を読んでから映像を観ると、失望することが多いのですが。
「日の名残り」は、英国の落ちぶれた貴族屋敷の内情、その誇りや物悲しさを、
日本人(正確には彼はイギリス人ですけれど)が描き上げたということに驚きました。
「わたしを離さないで」は、本を読んだとき私が入り込めなかった世界、
そのもどかしさが、映画の中にもそのまま存在したという感じでした。
「わたしを…」についてはこちらに書いています。
http://blog.goo.ne.jp/franny0330/e/8ba35b68065962bb47f763cdc3264d53

こちら、我家のバルコニーから見た中秋の名月です。


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pee the same color!「ドリーム」

2017年10月05日 | 映画


米ソが熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年初頭、アメリカ初の有人宇宙飛行計画を
支えた、NASAの3人の黒人女性の功績を描く伝記物語。

映画の冒頭、小さな痩せっぽちの黒人少女、キャサリンが出てきます。
数学に天賦の才を持つ彼女を飛び級で上の学校に進学させるため、
黒人学校の教師たちが彼女の両親に、その費用をカンパするのです。
その期待に応え、彼女は大学院まで出てNASAに就職するのですが
その時代は、半端ではない人種差別政策が横行していました。



バスの座席も別、学校も別、町なかの水飲み場も別、図書館で借りられる本も別。
キャサリンが計算係として配属されたNASAの研究所には、白人用のトイレしかない。
彼女は毎回、800mも離れた別の建物のトイレまで走らなければならない。
管理職代行として計算部を指揮するドロシーも、
ハードウエアのエンジニアとして働くメアリーも
正当な役職が与えられなかったり、資格を取るために必須の学校に行けなかったり、
それぞれ理不尽な差別と日々闘っていました。

しかしどんな逆境や差別にもめげず、めげずに仕事に打ち込み、結果を出していくうちに
徐々にその実力が認められるようになる。
その奮闘ぶりが、悲壮感なく、気持ちの良いテンポでコミカルに描かれているのです。



ヒューストンのNASAに行ったことがありますが、実に広かった。
広大な敷地の中を我々観光客は、何台も繋がるカートに乗って移動しました。
ビルとビルの間が、嫌と言うほど離れている。
キャサリンが800m離れたトイレまで走らなければならなかったということは
容易に想像できます。
しかも彼女が行かなければならなかったトイレというのは「colored」用、
つまりもしそこに日本人がいたとしたら(いなかったでしょうけれど)
我々もそこしか使えなかったということです。

ソ連に先を越された宇宙計画の実現のために、皆が1秒をも惜しんで仕事する中、
トイレの為に席を外すキャサリンを問い詰めた上司(ケビン・コスナー)が
初めて事の次第を知って、トイレの「colored」の看板を叩き壊すシーンは印象的でした。
" Here at NASA we all pee the same color!"
「NASAじゃみんな小便の色は同じなんだ!」と言って。

意地悪な白人女性の上司ヴィヴィアンを、キルスティン・ダンストが好演していました。
ラスト近く、トイレ(その時は白人用のトイレを皆が使えるようになっていた)の中で
彼女に言い返したドロシーの台詞は、胸がすくものでした。
“despite what you think, I don’t have anything against you all.”
“I know,I know you probably believe that,”
「私は別に、偏見なんか持ってないのよ」
「貴女がそう思ってるってことは知ってるわ」



偏見と差別はすさまじかったといえ、この映画には本当に悪い人は出て来ない。
キャサリンは頭脳明晰に加えて性格もよく、新しく誠実な恋人もでき、
3人の娘たちは天使のように愛らしいし、母親も温かく彼女を助けてくれる。
女子友3人は始終仲が良く、嫉妬したり足を引っ張り合うこともない。
デキすぎなんじゃないの?と思う部分もありますが
久しぶりに気持ちの良いサクセス・ストーリー、ハリウッド映画の王道を観た思いです。
にしても、このチープな邦題はなんとかならないのか?
原題は「Hidden Figures」(隠された人々)です。

「ドリーム」 http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/
コメント (12)
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まさか、あそこで…

2017年10月03日 | 社会


昨日のあの恐ろしい事件が起きたマンダレイ・ベイ・リゾート・ホテルには
15年ほど前に行きました。
夫と、中学生と小学生の息子と。
サンフランシスコ、ラスベガス、グランドキャニオンを巡る旅でした。

真夏のラスベガスはとにかく暑かった。
日中は40℃を超えるようだったと思います。
アメリカのことだから、ホテルの中は冷蔵庫の中のように寒いのですが
一歩外に出ると、パタッと倒れそうな暑さでした。
ストリップという大通りが街の中心を通り、その周りに巨大なホテルが林立している。



そのホテルが、それぞれがテーマパークというか、一つの国のようなのです。
ホテル・ルクソールはエジプトを表しており、巨大なピラミッドやスフィンクスが。
ホテル・ベラッジオはイタリア、コモ湖を模した湖が造られ、音楽に合わせて噴水が踊っている。
ホテル・パリスにはエッフェル塔がそそり立ち、ホテル・ベネチアンには運河が張り巡らされ、
陽気なゴンドリエーレとゴンドラに乗ることができる。
事件が起きたホテル・マンダレイには立派な水族館があり、サメやエイが泳いでいました。
どのホテルも大きさや豪華さが半端ではないし、勿論巨大なカジノが併設されているので、
ホテルの中だけでも一日遊べるような感じなのです。
砂漠の真ん中に、こんな巨大なジョークのような街を作りあげてしまったアメリカ人に
ある意味、感動したものです。



映画「リービング・ラスベガス」はアル中のニコラス・ケイジと娼婦の
安モーテルの中の、腐臭漂うような絶望的なラブストーリーでした。
「ペイ・フォワード」は、人の善意を信じる男の子がそれを世界に広げようと頑張る、
悲しいけれども私の好きな作品ですが
ラスベガスの郊外が舞台で、あそこにこんな住宅街もあったのかと驚いたのでした。


(15年前、ラスベガスで)

カジノの街ラスベガスは、マフィアが牛耳っているという説もある。
何しろ、空港の中にもカジノがあるのです。
しかし合法的に守られているので、逆に安全というイメージがありました。
夜遅くでも安全に遊べるような街と言われていました。
そこでアメリカ史上最悪の乱射事件が起きるとは…
今現在、死者59人、負傷者595人だそうです。

一番下以外の写真は、ネットから頂きました。
コメント (2)
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ワーグナー「神々の黄昏」

2017年10月02日 | 劇、オペラ、コンサート


ワーグナーの「ニーべルングの指輪」最終章を鑑賞。
2015年秋の「ラインの黄金」に始まり、「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」
と3年の長きに渡って観て来ましたが、ようやく完結。
しかも一幕が5~6時間(長い幕間がそれぞれ2回ずつありますが)。
ジークフリートをステファン・グールド、演奏は読売日本交響楽団。

ワーグナーが北欧神話や伝説を素材として構成したというこの壮大な物語を
私などにはとても説明できない。
無理くり乱暴にまとめるなら
世界支配の権力の象徴である黄金の指環をめぐって、地下に住む小人族と天上に住む神々が争う過程に、
人間の愛や欲望が絡み合い、神々の世界が消滅していくという感じか。
指揮者の飯森泰次郎氏によると
「“火”と“水”による破壊を経て最後に救済を暗示する幕切れは、まさにこの世の過去現在未来のすべてが凝縮されています。
そして巨大な四部作の最後は、『ワルキューレ』でジークリンデが歌いあげた“救済の動機”が再び出てきて愛による新しい世界を予感させます」
のだそうです(新国立劇場のサイトから)。



ワーグナーにてんで興味がない私には、ブタに真珠、猫に小判。
睡魔と腰痛との果てしない戦い。
全てが終焉に向かって突き進んで行くという様だけは、感じ取ることができました。
夫の趣味によく付き合ったと自分を褒めてやりたいと言ったら
ワーグナー・フアンの方に石を投げられるでしょうね。
モーツアルトやプッチーニの演目なら、私にも楽しめるのですけど
やはりワーグナーの壁は厚く高かったということか。
とにもかくにも全作観たということに意義があるとして、記録を残します。



観劇の前に頂いたオペラシティ53階「よし田」のすき焼きとステーキ丼のランチ。


「神々の黄昏」 http://www.nntt.jac.go.jp/opera/gotterdammerung/
コメント (4)
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