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Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

原田マハ「サロメ」

2019年07月09日 | 
世紀末ヨーロッパで一世を風靡した異端の作家オスカー・ワイルド、
彼の戯曲「サロメ」に悪魔的挿画を描いた夭折の天才画家オーブリー・ビアズリー、
姉で女優のメイベル・ビアズリー、そしてワイルドの恋人のアルフレッド・ダグラス卿。
実在の4人の、史実にフィクションを絡ませた愛憎劇。


この本の装丁は、世紀末ロンドンの文芸誌「The Yellow Book」を真似たのだそうです。
表紙の絵は、「サロメ」のクライマックス・シーンのオーブリーの挿画で
サロメが預言者ヨハネの生首に接吻するところ。
戯曲「サロメ」は聖書から引用されたといえ、倒錯した性愛や猟奇性に満ちた
退廃的な作品であり、イギリスでは長い間、上演禁止だったのだそうです。



オスカー・ワイルドといえば私は子供の頃、「幸福な王子」を読んだのでした。
幼い私は、南に渡る時期を逃して凍え死んでしまったツバメに涙したのに。
あの優しい童話を書いた人が、そんなに退廃的な異端児であったとは。
男色が禁じられていたその頃、彼は卑猥行為で逮捕投獄、財産も没収されたのだそうです。
ワイルドがいかに無名の天才オーブリーを見出して、このまがまがしい絵を描かせたか、
弟の成功を誰よりも願うメイベルが、それをどんな思いで見守っていたか、
小説は悪徳と官能の匂いに満ちていて、読んでいてゾクゾクします。


しかし何より衝撃的だったのは、
弟思いの優しいメイベルが、弟をワイルドに取られて、次第に狂気に染まって行くこと。
”体内でどす黒い嗤いが沸きたつのを感じた”彼女が最後にしたことに、息を呑みます。
嫉妬に狂った女は怖い…


「サロメ」 https://tinyurl.com/y6rux8lt

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2 コメント

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Unknown (ゆり)
2019-07-09 17:33:13
私もサロメ好きなんです ピアズリーの挿絵も好きで前に「怖い絵展」行った時にポストカード買いました
飾ってあります(^^)
サロメといえば 私は中学生のころケン・ラッセルのサロメを観てショックを受けたことがあります 割とショッキングでした 本も読んでいたんですけどね
大人になるとそうでもないんですが 思春期には結構きつかったです(^^;)
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ゆりさま (zooey)
2019-07-10 00:05:31
サロメ、お好きでしたか。
恋する男の首を望み、それに接吻した魔性の女サロメ、
衝撃的ですよね。
「怖い絵展」、中野京子の本を読んで楽しみにしていたのですけど
混みように恐れをなしているうちに行き損なってしまいました。
十代の頃のドキドキ感は、今となっては懐かしいですね~
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