Zooey's Diary

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「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」

2022年12月27日 | 映画

邦題から、もっとほのぼのとした作品かと思いました。
ルイス・ウエインの猫の絵は知っていましたが、彼のことはまったく知らなかったのです。
19世紀後半、イギリスの上流階級に生まれたルイス(ベネディクト・カンバーバッチ)は早くに父を亡くし、一家を支えるためイラストレーターとして働くようになる。
やがて妹たちの家庭教師エミリー(クレア・フォイ)と恋に落ちた彼は、周囲から身分違いと猛反対されながらも彼女と結婚。
エミリーは末期癌を宣告されてしまう中、子猫を飼い始め、ルイスはその猫の絵を描く。
猫の絵が評判になるが、ルイスは騙されやすくていつも経済的に苦しく、やがて精神を病んでいく…



ルイスには5人の妹がいたのですが、大人になっても誰一人として働かない。
あの時代の上流階級の娘は、働くことができなかったのですよね。
金持ちの男と結婚するしか生きていく道はなかったのに、その5人とも結婚しなかったというのだから驚きます。
働きもしないのに贅沢することだけは知っている5人の妹たちを、生涯ルイスは背負っていたのですね。
うち一人は精神を病んで、施設に送られてしまうのですが。



そしてルイスが家庭教師と結婚することに、周りがあまりにも酷い拒絶反応をしたことにも驚きました。
教師をするくらいだから学歴はあったでしょうに、身分が下だというだけで許されないのですね。
反対を押し切って結婚し、愛に満ちた生活を手にするのですが、エミリーはたった3年で亡くなってしまうのです。
ルイスの嘆きはいかばかりだったか…



猫の絵が評判を呼んで爆発的に売れるようになるが、ルイスはビジネスセンスがなく、著作権対策もせず、出版社からは買いたたかれ、いつも金銭的に困っていた。
やがて統合失調症を発症し、可愛らしい猫の絵も、次第にサイケデリックなものに変わっていく。
晩年は貧困者用の劣悪な精神病院に押し込められていたところを、彼の絵のフアンなどが募金を募り、恵まれた環境の、猫を飼うこともできる施設に移ることができたのだそうです。
ラストシーン、お城のような石造りの施設の中庭で、綺麗な景色を眺める老いたルイスの姿が印象的でした。
原題は何故「The Electrical Life of Louis Wain」というのか不思議でしたが、
ルイスは世の現象全てを「電気」で説明するという理論を振り回していたようです。
愛する人や猫に出会ったことも、ルイスにとっては”Electrical”な奇跡だったのでしょう。

公式HP 

コメント (2)
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