Zooey's Diary

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「メイド・イン・バングラディシュ」

2022年04月22日 | 映画

ダッカの小さな縫製工場で働くシムは、過酷な労働条件にあえいでいた。
どんなに働いても残業手当もつかず、失業中の夫を抱えて、家賃すら満足に払えない。
ある日労働問題活動家に出会い、彼女からの入れ知恵で、労働組合を作ることを決意する。
労働法を学んで奮闘するが、工場幹部からの脅しは半端ではなく、夫や周りの人間からも反対される。
必死に署名を集めて組合を作る条件は満たしても、あろうことか労務省の役人も企業と癒着していた。



ニワトリや野良犬が駆け回る汚い町、天井の扇風機だけが冷房の粗末な工場、教育のない女性たちを怒鳴りつけるだけの工場幹部たちが出てきて、これはいつの時代のことだろうと思いながら観て行くと、中盤からスマホが登場して現代のことだと分かります。
シムは14歳の時に親から高齢男性に嫁ぐことを強制されて田舎を飛び出し、工場を転々としている。
朝から晩まで働いて「Tシャツ1日1650枚を作って、月給はTシャツ2枚分(10ドル)ほど」なのだそうです。
労働組合を作ろうとする運動が、工場幹部に反対されるのは当然として、夫や大家のオバサンに強弁に反対されるのも悲しい。
夫は自分が職を得た途端に、彼女に仕事を辞めろという。
組合運動で出かける彼女を、男ができたと疑う。
誰も応援してくれず、シムは孤立無援になるが…



GAPという名前が具体的に出てきて驚きます。
ファストファッション企業の開発途上国での搾取ぶりが問題になって久しいですが、ここまでとは。
バングラデシュで数少ない女性監督の一人であるというルバイヤット・ホッセン監督は、まだ四十代。
労働者階級の女性たちを徹底的にリサーチする中で、シムのモデルとなった女性に出会ったと言います。
この物語の95%が彼女の経験が基で、ドキュメンタリーであってもおかしくないほどだと。
工場側と政府の癒着という国の問題も暴いたこの作品が、バングラデシュで上映されるとは信じられないと監督本人が言っているのを、インタビューで読んで驚きました。

岩波ホールの映画らしくエンタメ性は皆無の作品ですが、現実を教えてくれてありがとう、という感じです。

公式HP 

コメント (7)
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