
本年度のアカデミー作品賞・脚本賞受賞作。
2002年アメリカの新聞「ボストン・グローブ」紙が、神父による子供への性的虐待と、
カトリック教会がその事実を看過していたというスキャンダルを暴く実話の映画化。
「扉をたたく人」のトム・マッカーシー監督。
予告編の中の「これを記事にしたら誰が責任を取る?」という問いかけに対して
「記事にしない場合の責任は?」と返すシーンが印象的でした。
しかし…

良く言えば、媚のない映画です。
調査報道班の4人の記者たちが綿密に事実を調べ上げて行く様を、淡々と映し出す。
派手な演出も、盛り上がりを狙った脚本も一切ない。
登場人物がやたら多く、ファミリーネームとファーストネームが入り乱れ、
視聴する側は、膨大な台詞から人物像を認識するのに精一杯。
記者たちが過去の関係記事を丹念に調べ、そこから関係者に連絡を取り、
何度も拒否されながらも粘り強く取材するのを、我々は2時間観続けるのです。
淡々とした、相当退屈な作品であるともいえます。
正直私には、本編よりも予告編の方が面白かったかな。
期待度が高すぎたか。

しかし、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものです。
近年ボストンのカトリック教会の87人もの神父が、子供に性的虐待を犯していたのです。
しかも組織的に隠蔽されてきたという許しがたい事実を
4人のジャーナリストが丹念に調べ上げ、世界に報じたのです。
このスクープは、2003年のピューリッツア賞に輝いています。
そしてこの地味な映画がアカデミー賞を取ったというのも、ある意味凄い。
折しも今日発表された、国際NGO「国境なき記者団」による「報道の自由度」では、日本は72位。
この調査がどうやって行われたのか、どの程度信憑性があるものなのか
私は知る由もありませんが…
なんとも情けない数字です。
公式HP http://spotlight-scoop.com/