天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

文楽11月公演昼の部

2018-11-12 12:31:25 | 観劇
第1部 午前11時開演
蘆屋道満大内鑑
  葛の葉子別れの段
  信田森二人奴の段

桂川連理柵
  六角堂の段
  帯屋の段
  道行朧の桂川



●蘆屋道満大内鑑
文楽にはまったきっかけは「蘆屋道満大内鑑」でボロボロ泣いたから。安倍晴明生誕の話。偉人とか怪人とか特殊な能力を持った人は異類婚姻譚により異類や幽霊から生まれるのですが、安倍晴明の場合はお母さんは狐。
落語「天神山」のもとの話というとお分かりいただけるように、狐母さんが人間との間にできた子どもと別れられないといけない場面が印象的なのですが、今回はさほどのめりこめませんでした。理由は通しじゃなかったから設定にいまひとつの入り込めなかったようです。できれば文楽では通しか半通しをしていただきたい。もしくは疲れていない時に行こう。
二人奴はこの作品から人形遣いが三人になったとのことで、動きが大きくなって見やすくなったんだろうなあと推測されます。なんと助っ人が狐仲間です。お母さん、帰らなくてもよかったのでは?
今回は代わりに「蘭菊の乱れ」がなし。菊が咲き誇る中、狐お母さんが子どもと別れることに心を乱す。たぶん前回わたしは蘭菊で泣いたんだな。秋だし、蘭菊してほしかったです。

「恋しくばたづねきて見よ和泉なる、信田の森のうらみ葛の葉」


●桂川連理柵
こちらも落語「どうらんの幸助」にでてきます。[あらすじ]喧嘩の仲裁をするのが趣味という幸助さんが芝居なんかには興味ありません。ある日、稽古屋の前を通ったら「桂川連理柵」の嫁いびりが聞こえてきました。これは仲裁をせねばと思って中に入るとこれはここの話ではないという。京都の帯屋の話と知り住所を聞き出し、船で京都に向かいます。京都につくとすでにその場所には他のお店が建っている。お店の人間が幸助さんがお半長の話を訪ねてきたと知り、とうに桂川で心中しましたと伝えると、船で来たから間に合わなかったから「電車で来たらよかった」というのが落ちです。
いっぽうの文楽の方は、14歳の女の子と38歳の男性の心中を扱った物語。実際にふたりの遺体が川で発見されたことから(お墓もある)話題になり物語になったようですが、大阪の奉公先まで送ってほしいと隣家の呉服屋に頼まれた帯屋の主人が船着き場にいたところを強盗に殺されたというのが真相ではないかということらしいです。そして帯屋の跡地には蒲鉾屋が建ち、150回忌、200回忌に法要をしたそうです。どうらんの幸助が来たころには蒲鉾屋になっていたのでした。

というわけで子どものような娘っ子とおっさんが一緒に死んでたで、はセンセーショナルな話題として炎上したことでしょう。※遺族はたまったもんやない。
そこから筋を膨らませたのが道ならぬ恋の末に心中していたという悲恋もの。※遺族はたまったもんやない。

強殺されたらしい、ということが伝わっているので当時もその節は多いにあり、それとこれとは別、で実際の事件に艱難辛苦を付け加えたのでしょう。

帯屋の夫婦は長兵衛さんと夫想いのお絹さん。長兵衛は帯屋の養子でババが根性悪で嫁にも辛く当たり、長兵衛居心地悪し。玄人さんにでも手をだしていたらこうも悩まぬものをうっかりとなりの娘さんに手を出してしまう…と。嫁さんは長兵衛をかばうのですが、妊娠していた娘お半はひとり心中しようと最後の別れに。長兵衛もそれを察して二人桂川に身を投げる…とんでもねぇな!と毎回思う。
思うのですが、[心中]という結末ありきの物語で[心中しかない]という結末にもっていくには、この話はよくできていると思います。
人間の弱さと閉そく感と。

「ちぇ、あんまりじゃわいなあ」
コメント
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