エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

竹の秋

2015年04月27日 | ポエム
竹秋である。
春荀がニョキニョキと天を指してゆく。
新竹が、皮を剥いで伸びてゆく。

それと軌を一にして、竹の葉が茶色に変わっていく。
竹の秋と云われる所以である。



竹林は、まばらに見えるほど手入れが良い。
密集すると、竹の成長を阻害する。

山で、植林した樹の枝打ちをしなければ山が荒れるし、樹は売り物にならない。
木の節が多くなって、柱にはならないし精々「板塀」程度にしかならないのである。



竹林で、耳を澄ましてみるが良い。
さわさわと葉擦れの音が、耳に心地良い。

夢見心地の境地である。







「竹の秋葉擦れの音の流れ来る」







竹林の小径をそぞろ歩くのは、気分が宜しい。
この竹林の横には湧水の流れが、ささやかな音が聞こえてくる。

そう、母の心音のようにである。



水の流れと、葉擦れと・・・それらの音のバランスが安寧を与えてくれるのだ。
竹林の向こうの光が柔らかい。



春荀は、柔らかく美味い。
エグミの細やかさが。良い。



ぼくはひたすら歩いた。
一人で散策していると、刹那だけれど「静謐」に包まれるときがある。

それは、やはり葉擦れと湧水の流れの音が醸し出す「静謐」であるのだ。
無音だったら、静謐は訪れない。

雑味が無ければ、味覚は研ぎ澄まされないのと同じである。
今日、タケノコを頂いた。
採れとれのタケノコである。

明日は、三度目のタケノコご飯である。




       荒 野人


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