エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

春を告げるクロッカスの花に

2011年03月23日 | ポエム
クロッカスは「ハルツゲサフラン」とも言う。
蕗の薹のように、雪を割って花咲かせる健気さである。



クサスギカズラ目 Asparagales
アヤメ科 Iridaceae
サフラン属 Crocus
クロッカス(crocus)

である。





        クロッカス


      蕊の細やかな花粉がしっとりとする午後
      ぼくはクロッカスに魅せられたまま
      うずくまっていた
      得体の知れない気配をやり過ごすためだ
      クロッカスはぼくの影に遮られて結界の向こうに
      潜み
      手折られるのを凌いだ
      クロッカスが告げた季節のまま
      大気は緩み風はたおやかにそよいだ
      あたかもゼウスの呼気が生き物を制御するように
      天と地との間にたゆたう気体が
      クロッカスをまったりと包み込み
      そっと愛撫を加える
      クロッカスは花弁をゆったりと開き
      蜜を溢れさせるのだが
      あくまでも密やかに張力を迎える有様だ
      蕊を守る花弁の透徹した薄さと
      色彩に
      ぼくはやはり立ち上がれず
      うずくまっている





クロッカスの花言葉は多い。

「青春の喜び」「あなたを待っています」「楽しみ」「切望」「羨望」「歓喜」「私を信じて下さい」「あなたを信じながらも心配です」「信頼」「裏切らないで」「焦燥」「じれったい」「悪口をいうな」「堅実」「不幸な恋」

など多彩である。



花弁に包まれた・・・保護された蕊はエロチシズムすら感じさせる。
だからこそ、これほど多くの花言葉があり、人は思いを寄せたのである。

とりわけ黄色の花言葉は「私を信じよ」「悪口をいうな」「焦燥」「青春の喜び」「歓喜」である。



紫の花言葉は「愛して後悔する」である。
愛は無償であって見返りを求めるものではない。

従って後悔する愛とは、余程の悲惨さを内包していたのであろう・・・。
それは悲しい。





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