蝉の時間は、それほど残されていない。

残された時間を愛惜しむように、蝉時雨が降り注がれている。
愛おしい。
7年以上を地中で耐え、地上に出てから7日間の命である。
いま、家の近くでは雨が音を立てて降っている。
昨日は、入道雲が湧きあがっていたと言うのに、今日は曇天で少し涼しい。

昨日の雲の峰。

しかし、目を転ずるとこんな雲もあった。
夏と秋が入り混じっている「行合いの空」である。
所用があって出かけた。
そこで見かけた、蝉の生涯。

「蝉泣けど落つる命の度し難く」
「空蝉のその横に落ち命果つ」

正に生涯である。
土に穿たれた穴は、蝉が地上に出てきた穴。
右側には空蝉、蝉の抜け殻である。
言っておくけれど、この配置はぼくがしたものではない。
自然のままを写真に撮った。

この木の下である。
この木の下には、殆ど無数と言って良いほど蝉が落ちていたし、穴がそこら中に開いている。
抜け殻も、地上に落ちているのであった。
今でも蝉時雨が轟いているのである。
ぼくは、蝉の生涯を見て、ものの哀れを感じたのであった。
荒 野人

残された時間を愛惜しむように、蝉時雨が降り注がれている。
愛おしい。
7年以上を地中で耐え、地上に出てから7日間の命である。
いま、家の近くでは雨が音を立てて降っている。
昨日は、入道雲が湧きあがっていたと言うのに、今日は曇天で少し涼しい。

昨日の雲の峰。

しかし、目を転ずるとこんな雲もあった。
夏と秋が入り混じっている「行合いの空」である。
所用があって出かけた。
そこで見かけた、蝉の生涯。

「蝉泣けど落つる命の度し難く」
「空蝉のその横に落ち命果つ」

正に生涯である。
土に穿たれた穴は、蝉が地上に出てきた穴。
右側には空蝉、蝉の抜け殻である。
言っておくけれど、この配置はぼくがしたものではない。
自然のままを写真に撮った。

この木の下である。
この木の下には、殆ど無数と言って良いほど蝉が落ちていたし、穴がそこら中に開いている。
抜け殻も、地上に落ちているのであった。
今でも蝉時雨が轟いているのである。
ぼくは、蝉の生涯を見て、ものの哀れを感じたのであった。
荒 野人