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エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

蝉の時間

2012年09月08日 | ポエム
蝉の時間は、それほど残されていない。



残された時間を愛惜しむように、蝉時雨が降り注がれている。
愛おしい。
7年以上を地中で耐え、地上に出てから7日間の命である。

いま、家の近くでは雨が音を立てて降っている。
昨日は、入道雲が湧きあがっていたと言うのに、今日は曇天で少し涼しい。



昨日の雲の峰。



しかし、目を転ずるとこんな雲もあった。
夏と秋が入り混じっている「行合いの空」である。

所用があって出かけた。
そこで見かけた、蝉の生涯。







「蝉泣けど落つる命の度し難く」


「空蝉のその横に落ち命果つ」







正に生涯である。

土に穿たれた穴は、蝉が地上に出てきた穴。
右側には空蝉、蝉の抜け殻である。

言っておくけれど、この配置はぼくがしたものではない。
自然のままを写真に撮った。



この木の下である。
この木の下には、殆ど無数と言って良いほど蝉が落ちていたし、穴がそこら中に開いている。
抜け殻も、地上に落ちているのであった。

今でも蝉時雨が轟いているのである。

ぼくは、蝉の生涯を見て、ものの哀れを感じたのであった。



     荒 野人