平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

18歳の青年の絶望~若者が田原総一朗氏に語った「強い日本」への憧れ

2017年07月16日 | 名セリフ・名言集
 少し前、BLOGOSで、日本に絶望した若者と政治評論家の田原総一朗氏との議論が話題になった。

若者「私は18歳で、たぶんこの会場の中では一番若いと思うのですが…私はいま、この国にとても絶望しています。一番まともに見える党が自民党で、ほかの野党はボロボロ、マスコミはマスコミでもう何やってるかわからなくて…」
田原「ボロボロってどういうこと?」
若者「なんというか…支持者があまりにも少ないように見えます」
田原「なんで少ないと思うの?」
若者「信用されてないからでしょうか。 (自民党が)「他よりマシ」という風に見えて仕方がないんです」

 若者は自民党支持が多いと言われているが、この若者の言葉にはその一端が表れている。
 こんなやりとりもあった。

若者「なんといいますか、正直、「強い日本」への憧れがあると思います。かつての「経済大国ニッポン」とか「アジアに広がる日本」というものへの憧れが」
田原「それは何、中国や韓国に侵略したいってこと?」
若者「侵略とはいいませんが…。「経済的に」というか」
田原「日中戦争や満州事変なんて、全部侵略戦争じゃない。それがいいわけ?」
若者「いえ、人が死ぬというのはイヤなんですけど、「強い日本」というものが欲しいと感じています」
 ………………

 この若者の素直な言葉に対して、どう返していいか、ためらってしまう。
 どんな言葉を言っても、上から目線に聞こえてしまうだろうから。
 おそらく彼が安倍さんを支持する理由は、強い日本を取り戻してくれそうだからなんだろうな。

 ただ、ひと言、言うとすれば、
 国が強くなったからといって自分が偉くなるわけではない、と思う。
 それはサッカーのワールドカップに日本が勝てば、一瞬、スカッとするかもしれないが、自分の惨めな生活は変わらないのと同じ。
 国なんかに期待するよりは、自分を高めることに努力……って、やっぱり上から目線になってしまった。

 まずは、愛国心というものを客観視してみよう。
 作家のバーナード・ショウは、こんなことを言っている。
「愛国心とは、自分がそこに生まれたという理由で、その国が他より優っているとする信念のことだ」
 物理学者のアインシュタインは、
「ナショナリズムは小児病である。それは国家の麻疹(はしか)である」

 そして愛国心を克服するには、どうするか?
 アメリカのギタリスト、ジミー・ヘンドリクスはこう言っている。
「愛国心を持つなら地球に持て。魂を国家に管理させるな!」

 こんな感じかな?
 こんな感じだと思う。


※関連サイト
 「野党はボロボロ、自民はマシ…この国に絶望している」18歳の”本音”にジャーナリスト田原総一朗はどう答えたか?(BLOGOS)

 愛国心の名言(まとめNAVER)


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4 コメント

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分配の政策 (コウジ)
2017-07-17 20:59:28
TEPOさん

教えていただきありがとうございます。

>マルクス主義の限界は「南北格差」について十分意識していなかったところにあるように思います。

確かに。
マルクスの理論では、プロレタリアートは団結して資本家と戦う、というものでしたね。
ところ労働者はが差別や排外主義に向かってしまう。
トランプの支持者やヨーロッパの右派支持者も、移民に仕事を奪われている労働者層と言われていますし。
人間の行動や心理は理論どおりにはいきませんね。

そして、おっしゃるとおり、一番の処方箋は、格差是正ですよね。
「一億総中流」と言われた日本の高度経済成長期は、右も左もなく、ほとんど「国」なるものも論じられなかった。
自民党の一部には、「そろそろ分配を」と考える政治家が出てきているようですが、果たしてどうなるんでしょう?

雨宮処凛さんの本は僕も、何冊か読んでいます。
デモに行ったりすると、結構、目撃するんですよね、雨宮さん。
彼女の半生やプレカリアート運動の本も面白いですが、ポプラ社の「小心者幸福論」は、何か迷いがある時、本棚から取り出して読んでいます。
返信する
若者はなぜ右傾化するのか (TEPO)
2017-07-17 13:06:42
今日の社会的・政治的現実に対する記事にはほとんどコメントしていませんが、基本的にコウジさんのスタンスに共鳴しています。

雨宮処凛という文筆家がいます。
彼女には右翼活動家だった時期があり、その頃彼女は社会の最底辺に生きていたそうです。
当時を述懐して、外国人労働者と共に社会の最底辺で働いていると自分が日本人であること以外にプライドが持てなくなる、といった趣旨のことを書いているそうです。

マルクス主義の限界は「南北格差」について十分意識していなかったところにあるように思います。
「万国の労働者は団結」せず、先進国のプロレタリアートは排他的ナショナリスト(「右翼」)になります。
労働市場で自分たちを脅かす可能性のある「自分たちより貧しい国」の人たちを敵視するからです。

実はこのことは今日に限ったことではなく、ナチスに権力を与えたのがまさにそのような人々(「先進国」ドイツのプロレタリアート)でした。
それゆえに、当時と似た状況にある今日は危ういと言えます。

根本的な処方箋は「格差の拡大」―国民経済内部でも地球規模でも―に歯止めをかけることしかないと思うのですが。
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帰属意識 (コウジ)
2017-07-17 10:27:01
ぱぶたろさん

いつもありがとうございます。

>みんな何かに属していたいんですよね

これが本質なんですよね。
家族に属し、グループに属し、会社などの組織に属し、地域の共同体に属し、それで安心できる。
そして、それらが最終的に行く着く先は、国家で。

宗教も危ないんですよね。
たとえば、ISなどのイスラム原理主義。
戦前の日本も同様で、天皇を頂点とする国家神道の国だった。
それを利用する輩もいた。

一番、大切なのは、「国家」などを意識せずに生きていくことでですが、実は僕たちはこれを実践しているんですよね。
普段の僕たちはオリンピックなどの時以外、「国」なんてものを意識せずに暮らしている。
アインシュタインが言うように、国民が常に「国」を意識している社会って、どこか病にかかっているんですよね。
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Unknown (ぱぷたろ)
2017-07-16 12:29:23
みんな何かに属していたいんですよね
安心感のために
でも真に安心を得られる確かなものなんてこの目に見える世界には存在しないと思います。
現代科学文明の世界は一見すると古来よりの宗教からは脱却したように見えても、結局それに代わるものが置き換わっただけで、やっぱりどうしても何かに帰属していたい。
それの一番わかりやすい典型が国粋主義的な愛国心だと思っています。
ただ前者は対象が完全そのものである「神」であったのに対して、後者はその信頼を置く対象がほとんど気の狂ったような人間たちによって支配されている「国家」という不完全極まりないシロモノ・・
私個人の考えとしては、国家の健全化は本物の民主主義を国民が獲得するか、もしくは神への祈りをまず第一の本職としておられる天皇のような方に統治される国家(聖徳太子の時代のような)のどちらかしかないのでは、と思っています。
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