平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

海街diary~そばにいるだけで背負っている心の重荷が少しは軽くなる。そんな四姉妹の物語。

2016年06月29日 | 邦画
 鎌倉を舞台にした四姉妹の物語だ。
 長女で、家族を背負ってきた真面目でしっかり者の幸(綾瀬はるか)。
 次女で、姉の反動からか、開けっぴろげで大ざっぱな佳乃(長澤まさみ)。
 三女で、対照的な姉ふたりの間にあって物事を客観的に見る癖のついた、ちょっと変わり者の千佳(夏帆)。
 そして、四女のすず(広瀬すず)。

 すずは腹違いの妹だ。
 すずの母親が幸たちの父親を奪って生んだ子。
 幸たちにとっては〝自分たちの父親を奪った憎むべき女の子供〟。
 だから拒絶の対象になってもいいのだが、悪いのはダメ男の父親であり、すずに罪はないと思っている。
 それどころか、〝やって来た新しい妹〟に興味津々で、すずの存在が家を活性化させていることを愉しんでいる。
 たとえば、
 すずがサッカークラブで大活躍すれば大喜び。
 同じサッカークラブの尾崎風太(前田旺志郎)との恋愛?をからかう。
 いっしょにシラスご飯を食べ、年末には障子張りをする。
 花火大会での浴衣。
 庭の梅の木に梅がなれば収穫~おおざっぱな佳乃などは、すずが一生懸命梅の実をもぐのを見て「いい妹が出来たねえ」と縁側で横になる(笑)
 すずが梅酒を飲んでしまって寝込むと、眠っているすずの顔を見て
「まつげ、長いね」
「こんな所にほくろがある」
「耳の形、お姉ちゃんに似てる」
「お酒を飲んだ乱れ方、佳乃にそっくり」
 新しくできた妹は、幸たちにとって〝宝物〟なのだ。
 
 やさしい映画だ。
 テーマは寄り添うこと。そばにいて話をすること。
 それで抱えている問題が解決するわけではないけれど、少しは心が軽くなる。
 ひとりで背負っている重荷を少しは背負ってあげられる。
 たとえば、幸が医者の椎名(堤真一)と別れた時は、佳乃が部屋にやって来て、関係ない別の話をする。
 ちくわカレーを食べながら千佳が「あたし、お父さんのことよく覚えていないんだよね」と何気なくつぶやくと、すずは「お父さんは釣りが好きだった」と話をする。
 それだけで人の心は軽くなるのだ。
 すずに関してもそうだった。
 すずは自分の母親が幸たちの父親を略奪したことに罪悪感を抱き、母親のことを考えたり、思い出したりすることを避けていた。
「わたしがいるだけで傷ついている人がいる」と考え、母親のことを心の奥底に封印していた。
 でも、すずは亡くなった母をまだ求めていて、泣きたいのを必死でこらえていた。
 そんなすずに幸は言う。
「お母さんのこと、話していいんだよ。すずはずっとここにいていいんだよ」

 この作品は、第39回日本アカデミー賞の最優秀作品賞ほか最優秀賞最多4部門を受賞。
 広瀬すずさんの透明感はハンパでなく、広瀬さんがなぜブレイクしたかがわかったような気がしました。


※関連動画
 「海街diary」広瀬すずの華麗なサッカーシーン&予告編(YouTube)
 

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6 コメント

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わぁーい (ミキコ)
2016-06-29 20:08:17
私もこの作品は好きです。昨年、映画館で観ました。原作の吉田秋生(♀)のコミックは月刊フラワーズで連載中。最新話が8月号に載ってます。映画の脚本は大分はしょってあるけど、それでも良い作品です。
返信する
上手い脚本 (コウジ)
2016-06-30 07:54:08
ミキコさん

いつもありがとうございます。

まだ、原作コミックは連載中なんですね。

>映画の脚本は大分はしょってあるけど
なのに、はしょってることを感じさせない脚本でしたね。
非常に上手い脚本だと思いました。
同時に、原作の密度も非常に濃いんでしょうね。
機会を見つけて読んでみます。
返信する
5回見ました。毎回泣けてます。 (ゆりパパ)
2016-07-01 06:19:05
映画館で、家族全員で見に行きました。
元々は、綾瀬はるかさん、夏帆さんのファンでしたから、映画は絶対見に行くつもりでした。
原作は知らなかったのですが、予告やあらすじで、期待して見に行きました。
四人姉妹全員が主役のような、全員の気持ちになって見る事が出来ます。それぞれの目線になって見直すと、また違った映画で何ど見ても泣けて来ます。
広瀬すずちゃんを注目し始めたのは、この映画からです。それまでも、テレビなどに出ていたようですが、余り注目していませんでした。
でも、この映画でのすずちゃんには、感動させられました。凄い演技力です。役者として演技してる様な感じに見えません。このすずちゃんが、本当に居るとしか思えませんでした。
表情、目線の動き、しゃべって無くても、すずちゃんの気持ちが伝わってきて、嬉しい気持ちになった時も、辛くなった時も、気が付いたら涙が出ていました。
四人ともの日本アカデミー賞優秀女優賞も、当然と思いました。12もの優秀賞に、4つの最優秀賞と、自分が昨年での一番のお気に入りが、他の人達にも支持されてる事も、とても嬉しくなります。
脇役も、重要な役回りばかりで、全員の心が伝わって来ました。大伯母さんの樹木希林さんの、聞こえよがしの愚痴とか、逃げた母親だから余り言いたい事も言えないところや、夏帆ちゃんの彼氏のエピソードや、何度も見て、色んな視点で楽しめる映画だと思います。
夏帆ちゃんの彼氏役のレキシの新作ミュージックビデオに夏帆ちゃんと、映画と違って別れるカップルのビデオも良いですね。海街Diaryのスピンオフ作品見てる気がします。
多分、またこの映画を見ると思います。
5回見ていますが、また半年くらいしたら見たくなると思います。
綾瀬はるかさんの新作は、めちゃくちゃ評価が低くてすごく腹が立ちます。私は、断然気に入りました。コメディだけど、やっぱり泣いてしまいました。
もう、映画館に行く時は、ハンカチじゃ無くって、タオルが必要です。(T_T)
広瀬すずちゃんの、ちはやふるは、映画館で2回づつ見に行きました。原作がまだ連載中で先を知っているから、ツッコミどころや、人間関係に、感情移入してしまい、泣くのも解っているので、タオル持参で還暦前のおじさんが、高校生の話に泣いて見てました。
9月にまた広瀬すずちゃんの「四月は君の嘘」で泣く予定です。(T_T)
是枝監督らしい作品です。人物描写が抜群です。
誰も知らない、そして父になる、奇跡、
歩いても歩いても、どの作品も、超大作とか一大スペクタクルといった作品じゃなく、小粒の作品ですが、好きな作品ばかりです。
安倍首相にも、見てもらって、人間に何が必要か感じて欲しいです。といっても、感じる心を持って無いでしょうけどね。
こんな庶民にスポットを当てた映画なんか見向きもしないでしょうけど。庶民は、ただの捨て駒ですからね。日本は、金持ちが税金払わず、政治家は如何に人の金で私腹を肥やす事だけの、低俗な国家になってしまいました。今度の参議院選も、自民党の圧勝に終ります。日本が終わる瞬間です。憲法改悪、戦争参加、言論統制、一党独裁政権の恐ろしさは、もう戦後70年以上経って、想像力がなくなってきてます。
自民党独裁政権を容認してしまう、ただ野党に魅力が無いからという理由だけで。
イギリスと一緒ですね。EU他国からの移民に仕事が奪われているから、EU離脱が良いなんて、目先だけの判断ですよ。職を奪われないような法整備をすれば良かっただけの話が、今やEU各国と敵対関係になり、移民に職を奪われるどころか、イギリスから主要産業が出ていってしまいかねないでしょうね。大金持ちの王家も、お金無くなりはしないか心配です。
わーーーー、海街Diaryと話が変わってしまった。
ごめんなさい。ここに書き込むとき、つい安倍の悪口書いてしまう癖が。(>ω<)
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何度見ても新しい発見がありそう (コウジ)
2016-07-01 08:56:23
ゆりパパさん

いつもありがとうございます。

この作品の撮影の時、広瀬すずさんは台本を渡されず、現場で是枝監督から、そのシーンのせりふを伝えられたそうですね。
おそらく、その方が広瀬さんの気持ちが入ると考えたのでしょう。
面白い撮り方です。

>脇役も、重要な役回りばかりで、全員の心が伝わって来ました。
おっしゃるとおり、他の3姉妹や脇役にもそれぞれドラマがありそうですよね。
何回も観ることで、何気ない表情とかせりふとか、新たな発見がありそうです。

>綾瀬はるかさんの新作
は「高台家の人々」ですか?
綾瀬はるかさんは基本コメディエンヌで、コメディは得意なんですけどね。
逆に、この「海街diary」の長女役は新境地。
今後はこの路線が増えていくのかもしれませんね。

長澤まさみさんに関しては、名前があがっていませんが、ゆりパパさんの守備範囲外ですか(笑)
長沢さんってメチャクチャ、スタイルいいですよね。
この作品では銀行員で一般人の役でしたが、こんなにスタイルのいい人は一般人にいないよな、と思ってしまいました!

>是枝監督らしい作品です。人物描写が抜群です。
おっしゃるとおり、是枝監督は人物描写が繊細ですよね。
官庁が出してくる数字と自分のまわりの財界人やセレブしか見ていない安倍首相とは大違い。
生活している国民の個々の思いに想像力が働かないから、国家重視の姿勢が出てきてしまうんでしょうね。
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長澤まさみさんも好きですよ (ゆりパパ)
2016-07-01 12:48:39
長澤まさみさん主演の映画やドラマも、たくさん見てます。好きな女優さんですが、長澤まさみよりずっと好きな女優さんが、綾瀬はるかさんくる、夏帆さん、広瀬すずちゃんだっただけです。
男勝りの、サッパリした勝ち気な女性が似合う、素敵な女優さんです。
この映画でも、そんな役柄何だけど、カマドウマに悲鳴を上げる可愛い面も自然な感じで、四人姉妹のそれぞれの個性を引き立てていました。

是枝監督は、子役には何時も台本を見せない撮影の仕方で有名です。カンヌ国際映画祭で史上最年少で最優秀主演男優賞を授賞した事で有名になった「誰も知らない」でも、台本無しで、その場での支持で撮影したそうですね。まえだまえだ主演の「奇跡」でも、台本は、子役には見せずに撮影してその場での、事前の予備知識の無いままの、子供らしい自然な演技が好きな監督ですね。
大竹しのぶさんも好きな女優さんです。私と生年月日が1日しか違わない同い年なので、親近感も強いです。高校生の時にブームになった、「青春の門」で同年の女子の演技に圧倒されました。
この映画では、母親なのにちょい役で、残念でした。
毒のある役が上手いから、もっと悪役にした方が良かったのにと、思いました。長女と反発しあってたのに、何故か心では繋がっていて、残り少ないお祖母ちゃんが漬けた梅酒を、お母さんの為に走って取りに帰るところにも、グッときました。
色んな心の繋がりを、たくさん見せてくれるこの映画は、人との繋がりの色んな形を見せてくれるこの映画を、どの立場で見るかでまた違う映画になってくれるので、また見たくなってきました。
話は変わりますが、土曜ドラマ「朝が来る」は、見てませんか。特別養子縁組を題材にした、家族のあり方や、人との繋がりを、考えさせてくれる、今1番好きなドラマです。明日の放送が待ち遠しいです
返信する
大竹しのぶさんの上手さ (コウジ)
2016-07-01 19:36:40
ゆりパパさん

長澤まさみさんもOKだったんですね!
僕は、仕事に目覚めた佳乃が銀行員として、遺言状の作成に一生懸命なる姿がいいと思いました。

是枝監督は子役にも同様の撮り方をしているんですね。
変な演技プランで演じられるよりは、心のおもむくままに素直に演じてもらう。
おっしゃるとおり、その方が自然ですよね。

大竹しのぶさんの母親には同様のことを感じました。
もっと毒があって彼女の登場が大きな波乱を巻き起こすのかと思っていたら、大人の対応でしたよね。
言葉の端々に悪意が出ていましたが、ここが大竹さんの上手いところですよね。
それと梅酒のシーンは泣けましたね。

土曜ドラマ「朝が来る」
ありがとうございます。
土曜ドラマは結構見過ごして、「あ、こんなドラマが始まってたんだ」と後になって思うことが多かったので、教えていただき助かりました。
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