清盛(松山ケンイチ)と兎丸(加藤浩次)は同志だった。
その出会いは、実は少年時代に。
盗賊・朧月の息子である兎丸は子供時代の清盛(=平太)に言う。
兎丸「お前の親父は王家の犬やないか」
平太「王家の犬?」
兎丸「帝やら法皇に取り入るためやったら人殺しでもなんでもしよんねん」
平太「父上はそんなお人ではない!」
兎丸「だいたいお前かてそうやないか。王家に取り入るために、忠盛が法皇からもらい受けた子なんだろう?」
兎丸の問いかけは、清盛のアイデンティティを揺さぶった。
ここから清盛は<自分は何者なのか?>を考えるようになる。
そして、前回、書いたように、
「俺は父上のようにはならぬ。
王家の犬にも、平氏の犬にもならぬ。
野良犬の声が、このおもしろうない世を変えるまで、おもしろう生きてやる」
という自分を見出した。
兎丸との再会は、海賊退治をした時だった。
兎丸は海賊の頭領。
その海賊仲間たちは、世の中からドロップアウトした食いつめものばかり。
兎丸はそんな人間たちを生み出した朝廷に憤っている。
政治をまったく信用していない。
そして、こんな考えを清盛に披露する。
兎丸「海賊王になる。
今は都の帝がこの国の王さんや。王さんがえらい。王さんに義がある。
そやから、王さんのいやがる俺ら海賊は悪、ということになる。
けど、海賊の俺が王さんになったら?」
清盛「義と悪がひっくり返る」
兎丸「そういうこっちゃ! 海賊王兎丸がこの国の義となり、民を虐げる王家が悪となる、っちゅう寸法や」
この兎丸の考えに清盛は共感する。
兎丸が言った<海賊>をそのまま<武士>に言い換えれば、清盛と兎丸の意見は一致する。
清盛は同志を見つけたのだ。
だから、こう語った。
清盛「お前は俺だ、兎丸!
父を失うた悲しみを抱え、乗り越え、このおもしろうもない世を、おもしろう生きようとあがいている男だ。
兎丸「……」
清盛「ともに生きてはくれぬか。
平氏のもとでなら、いつの日か、もっとおもしろきことができるはずだ。
それでこそ朧月の義を証せるはずだ。
お前の命、仲間ともども、われら平氏に預けよ!」
兎丸「……俺に餅をつけて言うんか?」
清盛「王家の犬では終わらぬ!」
兎丸「……お前、アホやろ。けど、俺も賭けは嫌いやない。お前のアホさ加減に賭けてやってもええ」
こうしてふたりは同志になった。
賢い人間は<王家の犬>になって生きる。
だが、清盛と兎丸は<アホ>なので、その道を選ばない。
この兎丸の「……お前、アホやろ」のせりふ、いいですね。
しかし……。
清盛が権力を握った時、このふたりの関係にズレが生じてくる。
兎丸は清盛を諫めるが、清盛は聞く耳を持たない。
兎丸が殺されるシーンは衝撃的だった。
そんなふたりの未来を暗示する、こんなやりとりがあった。
海賊たちを引き連れて平家が凱旋する時の会話だ。
兎丸「もしも、自分ら平氏がのし上がることだけ考えてんのやったら、俺は許さんぞ。いつでも殺してやる」
清盛「無論、そのときはそうするがよい」
兎丸は清盛の<良心>でもあった。
しかし、兎丸を失った後、清盛はどんどん狂い始めていく。
その出会いは、実は少年時代に。
盗賊・朧月の息子である兎丸は子供時代の清盛(=平太)に言う。
兎丸「お前の親父は王家の犬やないか」
平太「王家の犬?」
兎丸「帝やら法皇に取り入るためやったら人殺しでもなんでもしよんねん」
平太「父上はそんなお人ではない!」
兎丸「だいたいお前かてそうやないか。王家に取り入るために、忠盛が法皇からもらい受けた子なんだろう?」
兎丸の問いかけは、清盛のアイデンティティを揺さぶった。
ここから清盛は<自分は何者なのか?>を考えるようになる。
そして、前回、書いたように、
「俺は父上のようにはならぬ。
王家の犬にも、平氏の犬にもならぬ。
野良犬の声が、このおもしろうない世を変えるまで、おもしろう生きてやる」
という自分を見出した。
兎丸との再会は、海賊退治をした時だった。
兎丸は海賊の頭領。
その海賊仲間たちは、世の中からドロップアウトした食いつめものばかり。
兎丸はそんな人間たちを生み出した朝廷に憤っている。
政治をまったく信用していない。
そして、こんな考えを清盛に披露する。
兎丸「海賊王になる。
今は都の帝がこの国の王さんや。王さんがえらい。王さんに義がある。
そやから、王さんのいやがる俺ら海賊は悪、ということになる。
けど、海賊の俺が王さんになったら?」
清盛「義と悪がひっくり返る」
兎丸「そういうこっちゃ! 海賊王兎丸がこの国の義となり、民を虐げる王家が悪となる、っちゅう寸法や」
この兎丸の考えに清盛は共感する。
兎丸が言った<海賊>をそのまま<武士>に言い換えれば、清盛と兎丸の意見は一致する。
清盛は同志を見つけたのだ。
だから、こう語った。
清盛「お前は俺だ、兎丸!
父を失うた悲しみを抱え、乗り越え、このおもしろうもない世を、おもしろう生きようとあがいている男だ。
兎丸「……」
清盛「ともに生きてはくれぬか。
平氏のもとでなら、いつの日か、もっとおもしろきことができるはずだ。
それでこそ朧月の義を証せるはずだ。
お前の命、仲間ともども、われら平氏に預けよ!」
兎丸「……俺に餅をつけて言うんか?」
清盛「王家の犬では終わらぬ!」
兎丸「……お前、アホやろ。けど、俺も賭けは嫌いやない。お前のアホさ加減に賭けてやってもええ」
こうしてふたりは同志になった。
賢い人間は<王家の犬>になって生きる。
だが、清盛と兎丸は<アホ>なので、その道を選ばない。
この兎丸の「……お前、アホやろ」のせりふ、いいですね。
しかし……。
清盛が権力を握った時、このふたりの関係にズレが生じてくる。
兎丸は清盛を諫めるが、清盛は聞く耳を持たない。
兎丸が殺されるシーンは衝撃的だった。
そんなふたりの未来を暗示する、こんなやりとりがあった。
海賊たちを引き連れて平家が凱旋する時の会話だ。
兎丸「もしも、自分ら平氏がのし上がることだけ考えてんのやったら、俺は許さんぞ。いつでも殺してやる」
清盛「無論、そのときはそうするがよい」
兎丸は清盛の<良心>でもあった。
しかし、兎丸を失った後、清盛はどんどん狂い始めていく。