平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

八重の桜 第19回「慶喜の誤算」~右の男を撃て。もうひとりは俺が斬る!

2013年05月13日 | 大河ドラマ・時代劇
 覚馬(西島秀俊)に迫る浪人武士ふたり。
 覚馬はほとんど目が見えない。
 すると時栄(谷村美月)が拳銃を構えて
「一発もはずしませぬ!」
 覚馬は自分の刀に手を掛けて
「右の男を撃て。もうひとりは俺が斬る!」
 カッコイイなぁ。
 幕末の都で悪と戦う、目の見えない孤高のヒーロー・山本覚馬!
 それを助ける小田時栄。
 こんな感じでスピンオフドラマを作ってくれないかなぁ。木曜8時の枠あたりで。
 そうしたら「八重の桜」の番宣にもなると思うし。
 こんなことを考えてしまった。
 前回も書きましたが、大河ドラマとはいえ、こういう活劇シーンが毎回どこかにあっていいと思うんです。
 別にチャンバラはしなくてもいいですから。
 こういうシーンを入れることで作品にメリハリが出て、歴史パートも活きてくると思うんですよね。

 さて今回は容保(綾野剛)。
 徳川と京の都を守るために<挙藩出陣>(=全会津軍を都に動員すること)を決意!?
 うーーん……。
 この作品を見始めた頃は、会津の「ならぬものはならぬ」や容保のブレない姿勢に共感していたが、最近は愚直すぎるように思えてきた。
 もっと世の中の流れに合わせて柔軟に対処すればいいのに……。
 会津の頼母(西田敏行)のように「幕府がなくなった今、京都守護職の役目も終わった」「全軍を会津に引き揚げる」という<正論>を主張する者もいたのに。
 八重の父・権八(松重豊)はこんなことを言っていた。
「会津藩主としてご家命に従うだけだ」
 まあ、当時の武士の価値観からしたら仕方がないのだろうが、これも危険。
 戦争に突っ走っていった戦前の日本を想起させる。
 リーダーは時として道を誤る。
 その誤った判断で苦しむのは、常に庶民や下々の者。
 容保の場合は仕方ないのかもしれないし、我々はその後の歴史を知っているから言えるのもしれないが、容保はもう少し会津の民のことを考えたり、他人の意見に耳を傾けるべきだったように思われる。
 それは現在でも同じで、安倍総理、くれぐれもあなたの理想のために国民を戦争に巻き込むようなことはやめて下さいよ。

 八重(綾瀬はるか)が中野竹子(黒木メイサ)が「鉄砲にも会津の魂があります!」と言った<会津の魂>という言葉もどこかうさんくさい。
 後の<大和魂>を思わせる。
 この大和魂のために何人の人が死んでいったか?
 最近、日本人の魂や精神とかを言い出す政治家が出て来たが、大丈夫か?

 今作の脚本・山本むつみさんにはこうしたイデオロギー的な背景はなく、バランス良く幕末の歴史を描いていると思うが、容保の民のことを考えない姿勢や八重の父・権八の「ご家命に従うだけだ」という盲従には危ういものがある。


コメント (9)
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