平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒10 「守るべきもの」~プロフェッショナルの条件

2012年03月08日 | 推理・サスペンスドラマ
 「相棒」が得意とする職業物。
 少し前は草木染め職人でしたけど、今回はSP。

 物語は、<危険が怖くて警察を辞めた男><狙撃が怖くて逃げた男>・土方勇作(合田雅吏)が実はプロフェッショナルなSPだったという話。
 土方は危険が怖くて警察を辞めたのではなく、守るべき対象者と信頼関係を結べなかったから辞めたのだった。
 また、狙撃が怖くて逃げたのではなく、ライフルの<銃衝撃音>を聞き分けて対象者を守ろうとしたのだった。

 <対象者との信頼関係を結べないと仕事を受けない>という自分なりのルール。こだわり。
 <銃衝撃音>を聞き分ける技術。
 このルールと確かな技術こそがプロフェッショナルの証しである。
 プロにとって<技術>は必須のものだが、<ルール>も大事。
 自分なりのルールを持っていないと、土方の上司のように簡単に買収されてしまう。
 またSPでなくても、こういうプロ意識は持っていたいですね。
 自分の仕事において、自分なりのルールを持っているか、確かな技術を持っているかを改めて検証してみたい。
 
 ドラマとしては、土方が撃たれる前日に対象者の泊真一(今井朋彦)と交わした会話が面白い。
 前日、土方は泊とこんな会話をしていた。

 「泊さん、何かを隠していませんか」
 「いえ」
 「あなたを本当に信じていいんですね」
 「ええ、私を守って下さい」

 「何か隠していませんか」と問われて、泊が「いえ」と言ったのは嘘。
 実は、狂言で翌日撃たれることになっていることを隠していた。
 しかし、「あなたを本当に信じていいんですね」と問われて、「ええ、私を守って下さい」と言ったのは心から出た真実の言葉。
 というのは、泊は狂言をいっしょに仕組んだ上司が裏切って、自分を本当に殺すのではないかと考えていたから。
 嘘をつき本当のこともしゃべっていた泊。
 そして、このことが土方を死に追いやってしまった。
 後者の「ええ、私を守って下さい」という言葉も嘘だったら、土方は見抜き、泊に本当のことをしゃべらせていただろう。
 狂言狙撃につき合うか、やめさせるかして、撃たれずに済んだかもしれない。
 ほんのわずかな歯車のズレが、生か死かを分けるんですね。
 何という人生の不条理! 皮肉!

 なお今回の事件のミスリードは、グローバルエネジー(暴力団)→NPO法人・日本丸が泊の研究に援助していたことだった。
 伊丹が右京(水谷豊)に対して言った「どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか?」というせりふが楽しい。

※追記
 狙撃の狂言を仕組んだ上司も<人生の不条理>ですね。
 彼としては、人を殺すつもりはなかった。
 狙撃はあくまで威嚇。
 なのに、なまじっか土方が<銃衝撃音を聞き分けるプロ>であったために、殺人犯になってしまうことに。
 本当に人生の一寸先は闇です。


コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする