平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

江~姫たちの戦国~ 第37回「千姫の婚礼」

2011年09月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 千(芦田愛菜)の婚姻のことで、江(上野樹里)が主人公の物語になっている。いつもこうであってほしいのだが……(笑)。
 内容としては、政治の道具にされて幼い娘と別れなければならない母親の悲しみ。
 「私は父上、母上の役に立ちとうございます。泣いてはなりませぬ。泣いてはお腹のややにさわります」
 涙をためながら語る千は名演技。さすが今ノッている芦田愛菜ちゃん。
 母親より娘の方がしっかり物事を理解していて、潔い所がこの作品らしい。

 江としては、伏見で産まれた子を初(水川あさみ)に譲って、<娘を政治の道具にしない>ことで、一矢を報いた感じ。
 「時代の流れに逆らわないが、乗ってみせる」と、かつて語った江だが、まあ彼女が出来た抵抗はこの位なんでしょうね。

 一方、淀(宮沢りえ)は時代の流れに逆らおうとしているようだ。
 家康(北大路欣也)は言う。
 「淀殿には夢から覚めてもらわねばならぬ。豊臣の世がどこまでも続くという夢を」
 確かに時代の流れから言って、豊臣が天下に覇を唱える世は既に終わっている。
 それを守り、しがみつこうとすることは滅びへの道。
 盛者必衰、諸行無常……、淀はこのことを認識しなければならなかった。
 でも、当事者って自分がなかなか見えないものなんですよね。

 秀忠(向井理)とはいい感じの夫婦になった。
 「娘を政治の道具にしなくてもいい世を若殿がお作りなさい」と本多正信(草刈正雄)に言われ、秀忠は「太平の世」を作る思いを抱いた様子。
 それは江の思いとも一致するもの。
 ふたりは太平の世を作るために共に歩んでいくのだろう。
 この作品の今後の流れが見えてきた。
 ちょっと当たり前の、使い古されたテーマではあるが。

 テーマとしては、先に述べた<盛者必衰>の方が現代的なような気がする。
 なぜなら日本も衰退期に入っているような気がするから。
 オランダ、スペイン、英国が示すように、世界に覇を唱えた国々に勢いがなくなっていくのは歴史の示すところ。
 司馬遼太郎さんも「(日本は)アジアの片隅にポツンとあるくらいがいい」と言っていたし。
 それなのに現代日本は、いまだにJAPAN AS NO.1を信じ、「がんばろう!日本」と叫び続けている。
 この姿は、淀が見ている<夢>に似ている。
 来年の大河ドラマは「平清盛」だそうだが、<盛者必衰>のテーマが描かれるのだろうか?

 作品は時代を映す鏡なんですね。


コメント (2)
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