平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ガリレオ

2007年11月06日 | 推理・サスペンスドラマ
 1話完結のミステリードラマ。
 そこには限界がある。
 まず大きな感動は望めない。
 それはドラマが謎解きという理屈で進行するため、感情移入しにくいのだ。
 視聴者はただ名探偵の謎解きの手腕を目撃することになる。
 主人公=探偵は視聴者の視点でパズルを解く人間であり、ドラマパートは被害者や犯罪者に委ねられる。
 第3話では神崎弥生(広末涼子)の夫婦愛。
 第4話では科学者の傲慢。

 さて第4話。
 福山雅治と香取慎吾の対決。
 水中での心臓麻痺。胸の壊死。
 「結果には必ず原因がある」という湯川学(福山雅治)はその原因を追及していくが……。

 このドラマの特徴であり、一方で弱点なのはトリック(=原因)自体が物理学に拠っている所である。
 「水の中で超音波を出すと……」と説明されると、視聴者は「へえ、そうなのか」と思ってしまう。
 ただそれだけ。
 視聴者は思う。
 トリックが物理学なのだから、自分が謎解きをしても無駄。
 だから考えることをやめてしまう。
 この点、まだ推理する余地のある「相棒」の方が面白い。
 ドラマ「トリック」の謎も予測不能だが、手品ならまだ許せる。
 犯人のトリックをいかに崩していくかを見せられる「古畑任三郎」の方がドラマとして面白い。
 「ガリレオ」の企画意図としては数学者が謎を解く海外ドラマ「NUMBERS」を意識しているのだろうが、推理に参加できないという点でマイナス。
 スタイリッシュな映像ドラマを狙っているのだろうが、月9の視聴者にどれだけ受け入れられるか?
 
 第4話で気がきいていたのは次の点。(以下ネタバレ)

 湯川と田上(香取慎吾)のやりとり。
 「科学者に道徳など必要でない」「天才と犯罪者は紙一重」という田上に湯川は反論。
 田上は天才なんかではないと言う。
 理由は水の中で心臓麻痺を起こす超音波の研究に5年もかけたから。おまけにその超音波は胸に壊死の痕が残るというもの。
 湯川は壊死の痕の残らない数式を田上に示してみせる。
 それは湯川が短期間で書いた数式。
 上には上がいる。
 そんな平凡な才能しかないお前が傲慢になるのは間違いだというメッセージ。
 この点、小気味いい。
 短編小説でいうオチの部分。

※追記
 貝塚北警察署の刑事・内海薫(柴咲コウ)の立ち位置が面白い。
 天才変人探偵には一般人ワトソン君の役割の人間がコンビになるが、薫もそう。
 今回、他の刑事が無視した胸の壊死にこだわったが、犯罪に対する独特の嗅覚があるらしい。(ただし男に対する嗅覚はゼロ)
 湯川に奴隷の様に使われるというのもいい。
 毎回、湯川の研究室で愚痴をこぼすのも定番だ。

 彼女は理屈のドラマの中で感情やユーモアを担当するキャラ。
 事件に首を突っ込んで物語を動かす狂言まわしのキャラでもある。



 
コメント (2)
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