札幌・ギャラリーレタラでの打ち合わせを終え、サピカの展示を見るために階段を降りた。
棚に置かれた白磁の器に魅せられた。
白磁は時代と共に変化し、シンプルな中に独特の形の存在感を示している。
李朝の白磁を彷彿させるような色とフォルム、儒教の教えから禁欲的と云われていた器の伝統から、
韓国作家の磁器だと解った。
丸底の10辺はゆっくりと王冠現象のように、上へと広がって行く。
青みがかった白磁の器は大地から誕生し、両手を広げるように力強い。
当時の石鍋の形からの影響と見たが、伝統の内に秘めた究極の主張に裏打ちされた技術を併せ持ち、
堂々としている姿が美しい。
この作家、李起助(Lee Gee Jo)は1959年済州島生まれ、韓国の安城に釜を持つ。
作陶の環境は自然豊かな古窯跡が点在する中で、野菜を作りキムチを漬けて暮らすという。
永々と陶人たちが暮らして来た中に、タイムスリップするかのように、ゆったりとした空間に入り込む、
そんな想いを器から感じ取る。
リーズナブルな値段にも惹かれ、宅急便で送ってもらった。
さて、何を盛るか、何を入れるか、それを思うだけで楽しくなって来る。