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生牡蠣をドロッと(爆) 新国立競技場問題

2015年07月17日 | 社会、読書
新国立競技場問題に関して、森喜朗氏のインタビュー記事が産経新聞に掲載された。

これを読むと、ザハ案を選択したことが間違いのほぼ全てだったと思える。
「斬新」なデザインに固執して、工費も工期も膨れあがった。
森氏はザハ案に固執してはいない。むしろデザインとしては嫌っているようだ。
しかし今からデザインを見直すには時間が足りないと考えている。
ラグビーW杯に間に合わないということは、プレオリンピックにも間に合わないことになる。

一方、国内の多くの建築関係の専門家が、工期も工費も当初計画の範囲で出来る案を出している。
オールジャパンで取り組めば
総工費1300億円以下でプレオリンピックに間に合わせられると私は思う。


このインタビューでは
下村文科大臣のダメダメぶりなども語られていて、
色々と興味深い内容だ。
以下に記事を全文転載する。
長いが経緯がよく分かるし、解決方法も見えてくるのではと思う。
(赤字はブログ主による。)

なお森氏はメディアで言われるよりは、ずっとまともな政治家である。
それと国際コンペはWTO政府調達協定というものがあってやらざるを得なかったらしい。

森喜朗元首相 「新国立競技場の経緯すべて語ろう」
 先日、共同通信が新国立競技場の連載を配信したでしょ。初回の見出しが「きっかけはラグビーW杯」だ。はは~ん、ときたね。反対してる連中は、国立競技場に反対している人たちは、戦略的に僕を一番の悪者にしようとしてるわけですね。
 経緯を説明すると、ラグビーW杯が決まった時、「せっかくビッグイベントがくるんだから国立競技場の改築のいい機会だな」となった。耐震も免震もやってないし、老朽化も進んでいるけど、サッカーや早明ラグビーなどは超満員だ。時に危険で改築は10年来の課題だったんです。
 もう一つ。国立競技場はもう陸上競技の公認競技場じゃなくなった。陸連(日本陸上競技連盟)が世界大会をやりたくてもできない。つまり陸上、サッカー、ラグビーなどスポーツ界にとって新国立競技場は悲願だったわけです。
 そこにたまたまラグビーW杯が決まった。その時は民主党政権。だから西岡武夫(故人、元参院議長)さんにラグビーW杯の議連会長になってもらい改築話をスタートさせたんです。
 ラグビーW杯会場となる条件は定員6万人、それに観客席に屋根がいる。男子サッカーW杯は定員8万人以上だ。だからサッカーも招致できるように定員8万人でいこうとなった。それに陸上競技もできるようにするには可動式スタンドも必要だと。そういう話を進めているうちに東京五輪が決まったわけだ。
 じゃあ、なんで建築家のザハ・ハディド氏が出てきたかというと僕もよくわからないのだが、2016年の東京五輪招致の時、晴海を中心にした全体像を描いたのが建築家の安藤忠雄さんなんですよ。あの時は石原慎太郎(元東京都知事)さんが安藤さんと共同作業で晴海に国立競技場を移そうとしてたんだ。僕らが「霞ヶ丘はどうするんだ」と言ったら石原さんは「サッカーとラグビーだけそっちを使えばいいじゃないか」と言ってたな。
 ところが、晴海の話はIOC(国際オリンピック委員会)からノーを食らったわけですよ。風があるから公認記録に影響するってね。羽田空港の空路のせいで空撮にも支障があるらしいんだな。2020年の五輪もヨットやカヌー、トライアスロンなどの会場を他に変えたのもそういう問題があったからなんだ。
 そういうことで2016年の招致は落ちちゃったけど、2020年は幸い決まった。
 五輪招致では「立候補ファイル」というのをJOC(日本オリンピック委員会)と東京都がIOCに提出するんだけど、その中に新国立競技場の全貌が書かれていて、IOC委員の投票の決め手になっているわけです。
 2013年9月のブエノスアイレスのIOC総会で日本に投票した委員は「日本はこんなすごいものを造るのか」となった。それに安倍晋三首相は「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから確かな財源措置に至るまで、その確実な実行が確証されている」と演説して大拍手だったわけよ。
 そういうわけで五輪によって新国立競技場はあんな風に変わっちゃったんだが、共同通信の「はじめにラグビーありき」というのは実に下品な推測というか、怒りを覚えるね。
 それにもう1つ。2019年にはプレ五輪がある。五輪と同じ競技場を使うわけです。それまでに新国立競技場を完成させなければならない。
 それがなぜ「ラグビーW杯のために」となるのか。そんなこと言うならラグビーはWR(ワールドラグビー)と話をつけて日産スタジアム(横浜)に行くか、味の素スタジアム(調布)に行くかという話になる。だからラグビーありきではないということはぜひ理解してほしいんです。
 あえて言えば2016年に招致を失敗した東京都とJOCが考えた案でしょ。それだけのこと。僕は反対だったんだけど、ああいう大きな事業だとWTO(世界貿易機関)関係で国際コンペをしないわけにはいかない。そこでザハって人に頼んだというのは僕もさっぱりわからないが、2016年招致からの経緯なのかね…。
 あの有識者会議っていうのは、そんなことを決める会議ではないんですよ。投票権もないし。グラウンドの恩恵を預かる陸連とかラグビー協会とかサッカー協会とか学識経験者とかに「こう決まりました」って報告するだけ。私は当初からあんな生牡蠣をドロッと垂らしたようなデザインを見せられて「へーっ、こんなのは嫌だなあ」と思ったけどね…。   
× × ×
 そういう経緯もあるんだから東京都は逃げちゃいけない。東京都で開くんですからね。五輪をやりたいと手を挙げたのは東京都だ。その時は石原さんだった。正直言うと「知事選に出ない」と言うのを、僕が「五輪をもう一度誘致すると宣言して辞めればいいじゃないですか」と説得したから申しわけないと思ってるんだけどね。
 招致が決まった時の都知事は猪瀬直樹さんだけど誘致できたのは石原さんの存在が大きかった。だから石原さんが推薦する安藤さんの意向を文科省もJOCも拒否できなかったのかな。
 だから現都知事の舛添要一さんにも言ったけど、東京都は国がメーン会場を作ることに感謝しなきゃいけない。「迷惑だ」みたいなことを言う立場じゃないでしょ。前々からの経緯から言えば、少しでも資金援助をするのが、むしろ常識ではないかな。
 石原さんの元々の構想では、晴海の競技場は国と東京都が折半でやるって話だったと聞いたよ。1000億円くらいを見込んでたんじゃないかな。それが1300億円、1500億円と膨らんでね…。
 文科相の下村博文さんと猪瀬さんはこの問題で3~4回会ってますよ。あの2人は会う度にそれぞれが自分の手柄のようにアナウンスするからカチンとくる。その辺が国と都がギスギスした原因の一つかな。
 だけどそれはそれ。舛添さんはそういう過去の経緯を承知して五輪をやるということで都知事になった。だから自民党都連が一生懸命、推したんだ。
 まあ下村さんと色々ギスギスしてたけど遠藤利明さんが五輪相になったので、国と都の調整は遠藤さんにお願いすることになった。するとどうも下村さんは逃げよう逃げようとするんだな。五輪相がいたって所管は文科相なんだよ
 舛添さんは来年、リオデジャネイロで市長から五輪の旗をもらって「次は東京だ」とデモンストレーションするんですよ。そしてその旗を新国立競技場で振らなきゃならん。その栄誉を受けたのだから少しは協調性を持ってやってくださいと申し上げた。ものすごく頭の良い人だから記者にペチャクチャと学者みたいなことを言ってたら混乱する。
 この間、舛添さんがここに来られた時、「風邪引いてる」とおっしゃるから、それで「田舎でもらった蜂蜜があるから持って帰りなさい」と言ったら「蜂蜜で買収された」と新聞に書かれてね。ホントにこの問題を漫画チックにして、僕が都知事に「都民の金を出せ」と押さえつけてるような書き方だよ。
 僕が言いたいのは、2019年のラグビーW杯だけじゃなくてプレオリンピックに間に合わせないと世界中の笑い者になるぞ、ってことなんです。
 それに7月末にクアラルンプールでIOC総会がある。ここでまだ決まってなかった自転車競技の会場と、メーン会場がすべてセットされましたという報告を私がしなきゃいけない。
 IOCのトーマス・バッハ会長はなかなか腹のある人で、6月のローザンヌでの理事会では「メーン会場の話はしないで結構です。私は日本の仲間を信じている」と武士の情けをかけてくれた。理事たちも何も言わずに我慢してくれたが、次も決まらないと一悶着あるよ。各国にいろんな日本の新聞情報が入ってみんな心配してるんだから。
 次のIOC総会できちんと報告できなかったら、契約違反になる。東京都とJOCが「こういう開会式でこういう風にやります」という文書をIOCに出し、契約したんですよ。
 無責任な評論家は「そんな競技場がなくても五輪はできる」とか言うけど、これはメンツの問題でもある。
 ラグビーだってヨーロッパとオセアニアでやってたのを初めてアジアへ持ってきた。日本でやってこれが米国やロシア、南米へと広がっていくことを期待してるんです。
 ラグビーだけじゃない。サッカー協会は女子W杯の誘致を希望しているが、それにはスタジアムがいる。それに可動席スタンドが必要なんです。ラグビーは6万人でいいけど可動式スタンドと観客席の屋根は重大な問題だ。
 さてそこで、屋根の問題がなんでこんな風にこじれたかといえば、これも下村さんなんですよ。初めて公式に舛添さんに協力の依頼に行ったでしょ。
 その時に舛添さんが沖縄県みたいにカメラやマイクを入れて下村さんと会見をやったわけですよ。僕は下村さんに「気をつけて話しなさい。間違っても議論をふっかけるようなことはしないように」と忠告してたんだ。下村さんも「わかりました、よく気をつけます」と頭を下げときゃいいのに、知事に言われて大見得を切ったんだ。
 「考えてますよ。スタンドは仮設にして屋根はやめる」と。これは余計なこと。最後に切るカードを先に出しちゃったんで「屋根がいらない」と独り歩きしてしまった。そうじゃなくて開閉式はやめようということだった。
 ラグビーもサッカーもグラウンドに雨が降っても別に構わない。問題は屋根が空いたままだったらコンサートや文化行事ができないことなんです。
 新国立競技場の維持費をまかなうにはコンサートを開きたい。大きいからいろんなことをやれる。文化、経済、スポーツ、すべての集積する場にしようという計画だったんです。
 日本武道館は一度も赤字を出したことはないのはなぜか。コンサートで7~8割の運営経費をまかなっている。東京ドームもポール・マッカートニーやEXILEのコンサートをやってるでしょ。屋根がないとそういうことができない。騒音問題が出て環境問題になる。
 これは五輪にとっても死活問題なんです。なぜかというと開会式は半年以上前から準備する。多くのマンパワーを要するからリハーサルは夜しかできないんです。毎晩電気をつけて音楽かけてたら、たちまち騒音問題になるじゃない。
 だからほんとは天蓋は必要なんです。抗しきれなくなっちゃって「天蓋はやめて五輪後につけます」と言わざるを得なくなったけど、開会式のリハーサルは一苦労だな。
 僕は専門家じゃないけどキールアーチが問題なのは分かる。でもそれを前提にして基礎設計をやってるんですよ。キールアーチをやめるとなると全部やり直しだ。そうすると実施設計まで1年半かかり、プレ五輪に間に合わない
 それにキールの部材は7月中に発注しないと間に合わないそうだ。あまりに巨大だから全体を作って競技場に運べないから切断したのを運んで現場で接合するしかない。だから仮設工場もいるんですよ。
 問題は総事業費だけど、そこは腹をくくって国家的事業だからということで納得してもらうしかないんです。大事なことは、五輪は国と東京都と組織委員会が協力してやることなんです。そして経費を徹底的に精査すること。僕が組織委員会にきて2000億円くらいはすでに圧縮したよ。
 それでも東京都が3000億円、組織委員会もトータルで7000億~8000億円はかかる。でも国は2520億円しか出さない。おかしいと思いませんか。3対8対2だよ。
 新国立競技場は50年先とか、80年先に東京五輪のレガシー(遺産)として残して、日本の文化、経済、科学技術、スポーツを世界中に発信する中枢にすべきなんです。それがアベノミクスでしょ。われわれはそういう理想に向けてなんとか歯を食いしばって国の財政にも迷惑かけないようにやってるんです。
 僕も無報酬だよ。わずかばかりの議員年金は家内に渡してね。日当は手をつけず組織委のメンバー全員の盆と暮れの打ち上げ代に貯めてるんです。
 僕は組織委に2つを言ってるんだ。1つは派閥を作るな。もう1つは自分の出身の組織を向いて仕事をするな。組織委員会に現在380人ほどいるが、来年には倍になる。その人たちがみんな自分の出身の組織を見て仕事をしたら一体どうなりますか。だから、自分の出身組織のことは考えずに五輪を成功させることだけを考えてやりましょうと。俺もいろいろ気を遣ってるんだよ。
=このインタビューは7月14日に行いました。
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