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貧困大国

2011年10月30日 | 社会、読書
ルポ貧困大国アメリカ、ルポ貧困大国アメリカⅡという本を読んだ。


堤 美果 著、岩波新書

今のアメリカは私がイメージしているものとは随分違うらしいと知って
ネットで「良い本だ」との評判を見たからだ。

私のイメージするアメリカは

豊かで明るくて、
「世界一」をちょっぴり鼻に掛けて正義の押しつけをするけれど
ものの道理をわきまえている民主主義の国

というものだった。

しかしそれは30年以上前のアメリカであって
今現在のアメリカは行き過ぎた「弱肉強食」が横行する不公正な社会のようだ。

目次
上巻
1.貧困が生み出す肥満国民
2.民営化による国内難民と自由化による経済難民
3.一度の病気で貧困層に転落する人々
4.出口をふさがれる若者たち
5.世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」
下巻
6.公教育が借金地獄に変わる
7.崩壊する社会保障が高齢者と若者を襲う
8.医療改革vs医産複合体
9.刑務所という名の巨大労働市場

一番ショックを受けたのは「学資ローン」の話だ。
1970年代、欧米では奨学金が充実していて無料で大学へ行けると聞いていた。
日本では給付奨学金はほとんどなくて、貸与だけ。
卒業後に返済が義務づけられていて、
豊かな欧米社会がうらやましいと思ったものだ。

しかし、現在のアメリカでは給付奨学金はほとんど姿を消して
多くの若者が民間の学資ローンを借りて大学に行く。
そして卒業時には平均で200万円前後の借金を負う。

この学資ローンは利率が高く、不況で職に就けずに返済が滞るケースも少なくない。
すると延滞金や罰金が課せられて借金は増える。
いともたやすく不良債権となって、不良債権専門の業者に転売され
さらに利息が雪だるま式にふくれあがるという。

実はもっと低利な公的学資ローンもあるがほとんど学生達は知らない。
大学の相談窓口でも教えてくれない。
金融会社が大学にたっぷり寄付をして
学生が自分の会社のローンを借りるように大学を「抱き込んでいる」からだ。

すべては合法的。

だが、自国の若者達の学びたいという気持ちにつけ込んで
食い物にするなど、想像を絶する強欲さだ。

さらに、企業は政治家に献金しロビー活動を行い
自分たちに都合の良い法律を作ってしまう。

例えば、学資ローンの借金は、
自己破産してもチャラにならないという法律が作られたそうだ。


今のアメリカは格差社会だ。
そこでは、一度富を手に入れた者は
寄付、政治献金、ロビー活動などの「合法的な賄賂」で政治家を抱き込み、
制度や法律を変えて、
中産階級や貧困層の人々からなけなしの金を巻き上げている。
そして格差はどんどん広がっていく。

この本を読んで、初めて、「99%デモ」の意味することが分かった。
TPPのことも、自国民でさえ「骨の髄までしゃぶる」ような国が相手だと気付くことができた。

現時点でアメリカは日本の最大の同盟国だ。
その国の実情と、その国を牛耳っているのがどのような価値観の持ち主か
多少なりとも知ることができて、良かったと思う。
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