桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2010・12・20

2010年12月21日 | Weblog
デベラという魚をご存じだろうか?漢字で書くと「手平」とか「出平」とか。インターネットで調べると、瀬戸内海でとれる「タマガンゾウビラメ」の干物とある。「デメヒラメ」が鈍って「デベラ」というようになったともある。とにかくその干物作りはMの実家のある三原に近い尾道や福山の冬の風物詩らしく、Mの祖母が太い縄でつなげた15匹のデベラを送って来てくれた。そのデベラと六本木ヒルズけやき坂のイルミネーションはどう考えても繋がらない。うん、普通だったら絶対繋がらない。でも、今日、12月20日、瀬戸内海のデベラと六本木けやき坂のイルミネーションが俺の中で繋がってしまったのは、俺が珍しいものなので店に飾ろうと思ったことが始まりだ。デベラはちょっと匂いがする。いや、かなり匂いがする。それだから何枚ものビニール袋にしっかり包んでバスに乗り込んだものの、それでもまだ匂うもんだから、デベラの入った袋を座席の下に置いてその上から鞄を乗せておいたのが間違いの元だった。バスが麻布十番に着いた時、運転手が車内アナウンスでこれから俺の下りる六本木交差点までいつもより30分以上時間が余計にかかると告げた。ヒルズのイルミネーション見物の為、夕方になると車の渋滞が起きているのだ。それを聞いた瞬間、やばいと思った俺は鞄を持つと慌ててバスを飛び下り、歩いて六本木に向かおうとした。デベラの入った袋をバスに忘れてきたのに気づいたのはしばらく歩いてからだった。そこでタクシーを拾ってバスを追えばよかったのに、動揺した俺は近くにあった地下鉄大江戸線の入り口に駆け込み、一駅先の六本木に向かおうとした。バスが遅れているなら俺の方がバス停早く着くはずだ。処が、大江戸線のホームは麻布十番も六本木も深い。地上からホームに着くまでとホームから地上に上るまでにかなりの時間を食った。おまけに出口を間違えてしまい、俺がバス停についたのは麻布十番で下りてから30分近くが経っていたみたいで、デベラを乗せたバスは数分前に出てしまったみたいだった。普通ならここで諦める。でも、折角瀬戸内海で採れて長旅をしてきたデベラとそれを送ってくれたMの祖母に悪いと思った俺は「六本木ヒルズ五反田循環」という奇妙な行き先のバスをタクシーで追った。処が、バス路線をそのまま追っている筈なのにデベラを乗せたバスはなかなか掴まらない。このままじゃ五反田まで戻ってしまいそうだったので、古川橋あたりで追跡を断念するとバスの営業所に電話してデベラが届いたら連絡くれるように頼んで店にいく。遅くなった事情を話すと、Mの冷たい視線。食べ物だし、後で坐ったお客さんが持って行ってしまっているわと言葉まで何処か冷たい。そう言われて俺も、このまま見つからなかったらMの祖母にどうやって言い訳しようと落ち込む。でも、30分後、デベラが届いたとの朗報が伝えられる。タクシーに飛び乗った俺は品川埠頭近くにある都バスの営業所で二時間ぶりにデベラと再会。ホッとしたものの、タクシー代が3000円を超え、その前の追跡を含めると「デベラ奪還闘争」に費やしたタクシー代は5000円を超えていた。これも皆、六本木ヒルズのイルミネーションのせいだ。あ、それから今気づいた。そんな苦労してまで奪還したデベラなのに、店でお客さんには食べて貰ったものの、俺はまだ食べてなかった。あのデベラ、どんな味がするんだろ?
●年末は大晦日まで営業します。
●「即興劇の夜」出場者募集!
予選・2011年1月12日、13日、14日、決勝・1月15日 いづれも19時半開始(出演者は19時までに集合)参加希望者は前日までにmomoi.akira.113アットdocomo.ne.jp(アットを半角でマークにして下さい)までメールで個人エントリーして下さい。詳細はホームページをご覧くださるか、コレドシアター(03ー3470ー2252 18時以降)までお問い合わせください。
●リスボンの夜 Primeiro『リスボン泥棒市 乃木坂版』(日時1/17)~1/21、料金は無料)、リスボンの夜 Segundo 西沢利明ひとり芝居『異名者たち~ペソアとその仲間たち』(台本演出・桃井章 日時1/24(月)1/25(火)開演19時半 料金3000円、
リスボンの夜 Terceiro『津森久美子ファドライブ』(1/27(木)20時開演(18時半開場 料金・3000円、40名様限定、ゲスト 高柳卓也(ファディスタ)、月本一史(ポルトガルギター)
リスボンの夜についての詳細はホームページで。予約お問い合わせはコレドシアター(☎03ー3470ー2252、18時以降)まで。
コレドのホームページのアドレスです。 イベントスケジュールなどご参照ください。