桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2007・8・11

2007年08月12日 | Weblog
もう街はお盆休みに入っているみたいで、今日は開店する前からお客さんは望み薄だと敗北気分だったけど、一人でもお客さんが来てくれることを祈って看板の灯を点けると、開店前に高校の同窓生で近所に住むMさんがビールを飲みに寄ってくれる。でも、還暦を迎える(迎えた)男女のお喋りタイムが終ってしまえば、後は閑散とした静寂が俺とTちゃんを包み込む。それに耐えきれず前から見ようと思っていた『盲獣VS一寸法師』(石井輝男監督)を見る。東映のプログラムピクチャーを多作していた石井監督の、晩年になってからの意欲作に酔いしれる。けど、見終わってもお客さんは来ない。仕方なく続けて『日本春歌考』(大島渚監督)を四十年ぶりに見る。俺が映画っていいなと思って当時十数回も見た映画なのに、今見てみると観念的台詞が横溢し、どうしてそんなに入れ込んだのか分からなかった。多分、20歳当時は映画文法を破壊していることに魅力を覚えたのだろう。20歳の思考は20歳の嗜好だ、なんて結論づけてスイッチをoffにしたのは10時近く。でも、まだお客さんは現われない。流石にもう一本見る力はなく、カウンターでTちゃんと飲みだす。10時半過ぎにプロデューサーのSさん、11時過ぎに美人OLのJ子ちゃん、自主映画監督のHK、元店長のMたちが来てくれたけど、みんな身内っぽく売上に貢献とまではいかない。2時近くベロベロになって一日が終る。