緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

兄弟・姉妹を亡くした子供たちへのケアはとても大切・・

2022年04月17日 | 医療
30年近く前のアメリカ留学中に学び始めた緩和ケア。
教会で出会ったアーバーホスピスのプレジデントに頼み込み、週1回のカンファレンスに参加することから始めました。

ある日、小児がん在宅ケアの5歳の患者さんの症例でした。
ケアの重要課題に、8歳位の姉のケアが上がっていました。

患者さんの部屋とお姉さんの部屋の位置の説明、患者さんのケアの最中は、お姉さんに本を一緒に読む、絵を書くなどし、その絵が語る心理的な変化などの分析や考察が報告されました。
日々どのように担当者が入っていったか週1回報告され、患者さんの看取りの時にどのようにチームが動いていったか、デスカンファレンスを聴いた時は、その配慮に心熱くなりました。
亡くなった後も、両親とは別に姉のケアの報告が続きました。






最近は、国内でも看護師さん達からよく家族ケアという言葉を聴くようになりました。




今朝の朝日新聞、TV面を一枚めくった29面

丁度6年前の熊本地震の時、心臓病で亡くなった花梨ちゃんは4歳でした。
その死から3年位経ったとき・・
2歳年上のお姉ちゃんが花梨ちゃんへの後悔をお母さんに話してくれたことで、お母さんは家族を失った子をケアする会を設立したという記事でした。
でも、それが、中々広がらないことも書かれていました。





この記事で思い出したこと・・
留学から帰国して、国立がんセンター東病院(当時)の緩和ケア病棟に勤務していた時のこと。
ルーテル学院大学が招聘したダギーセンターのシンシア・ホワイトさんのグリーフケアの研修を受け、その後、シンシアさん達と、「てとてとて」(手と手と手)という大切な人を失った子供たちのケアのサポートの会を三鷹で開催し、ボランティアで参加していました。

必ずしも姉妹、兄弟を失った子供達だけではありませんでしたが、今も、その時の仲間や他でシンシアの活動を学んだ人々が、沢山のNPOを立ち上げ活動しています。

あしなが育英会・あしながレインボーハウス(岩手県宮古市、釜石市、陸前高田市、宮城県仙台市、石巻市、東京都日野市)、グリーフサポートせたがやAIMS(東京都元麻布など)、グリーフサポートふくおか、グリーフサポートふくしま、子どもグリーフサポートステーション(仙台市)、サンザシの家(東京都板橋区)、The Egg Tree House(東京都小金井市)、グリサポとやま





花梨ちゃんのお母さんの記事・・
自ら会を立ち上げ、自ら傾聴を学び、試行錯誤されている様でした。



病院の中にいると、家族ケアが大切・・といいつつも、病院に家族がいらっしゃらなければケアは届きません。
コロナ禍ではなおさらです。



医療機関から外に出て、コミュニティーで支える体制があることの大切さをつくづく感じます。

そして、失った悲しみを糧にして、想いを強く立ち上げた団体だからこそ、軌道にのって必要とする子供たちに届いてほしいと思います。
そして、お母さんの活動が孤独でありませんように・・・
この願いが届きますように・・・


cremedelacherによるPixabayからの画像 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« がんの旅路:Journal of clin... | トップ | 春!新プロジェクト始動です »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事