高校時代の友人から厚みのある郵便が届きました。
何だろう・・・
「花束」という、句集でした。
友人は、俳誌に所属する知る人ぞ知る俳人です。
何年か前、軽くはない病気で入退院を繰り返されたことがありました。
何気に読み始め・・
はじめは、動きや人の息使いのある句が多く、
その内、静の中の柔かな句が増えていきました。
ドキッとするような句もありました。
「散るときの来ぬが如くに梅しづか」
動きがとまったような静かな句は、もしかして病室の窓から・・・?
「秋灯の一つ早きは山近く」
ぐっときたのが
「柿を剥く音静かにも優しくも」
窓の外、空の様子の句が続きます。
「目をつむるたび暗くなる秋の暮」
「違ふ窓なる冬空の違ふ色」
クリーンルームに入院していらしたころを思い出します。
そして、また少しずつ街の風景や光を感じる句が増えていきます。
「この冬も生きて息する誕生日」
動きのある句に惹かれます。
「秋高し水に立つ鴨浮かぶ鴨」
そして、最後は、キラキラと一杯に光を感じられる句でしめられていました。
「めつむればくまなく春の水の音」
誠実な写実
清々しさ
どのように表現すればよいか言葉が見つかりません。
あとがきに、
多くの方からの励ましに対し、
「言葉に尽くせない感謝をもう一度ここに残しておきたい。
地味ですが私からの花束です。
平凡な暮らしの浮き沈みにとらわれているときも、
どこかで俳句に支えられてきた。
迷いながら学び続ける日々をさらに重ねて、
俳句の世界につながっていこう。」
草花などの難しい漢字には、丁寧に鉛筆で仮名をふってくれていました。
そんな気遣いと
はにかむ様な友人の微笑みとともに
病室の姿が重なって、
耐えられなくなった涙がこぼれてしかたありませんでした。
由美さん、素敵な花束をありがとう・・
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心の暖かさがさめる間もなく、コメント頂き、本当にありがとう。皆さんに読んでいただきたくて、リンクを張らせて頂きました。
日々の浮き沈みに惑っていた私にとって、大いなる励ましでした。