プロメテウスの政治経済コラム

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セブンイレブン 公取委排除命令受諾  廃棄リスクを100%加盟店にかぶせるコンビニ会計

2009-07-31 18:53:38 | 政治経済
セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)による弁当類の値引き制限問題で、同社が公正取引委員会から受けた「排除措置命令」を受け入れる方針を固めたことが29日、分かった。加盟店が売れ残り品を値引きする「見切り販売」の条件を記載したガイドラインについて公取委と調整を続けてきたが、ほぼ合意に達した。来週中に加盟店へ説明を始め、その後に正式発表する方針だ(時事通信2009/07/29-15:08)。
公取委が、6月22日にSEJに出した「排除命令」は、コンビニ業界が抱える問題を社会的に明らかにした。コンビニ本部と加盟店オーナーとの関係は決して、セブン-イレブンの井阪隆一社長が言うような対等な契約関係ではない。契約内容そのものが不平等であるからである。個々バラバラに支配されていた加盟店オーナーが、ユニオンに結集し公然と立ち上がり始めている

6月22日、SEJに対して、独占禁止法に抵触するとして、公正取引委員会から「排除措置命令」が下された。本部がこれまで加盟店に対して、「賞味期限前だからといって値引き販売をするな」と強制的に制限していたことは、優越的地位の乱用にあたると認定したのだ。こうした問題は、1970年代にセブン-イレブンが日本で立ち上がって以来、長く業界内にくすぶっていた。しかし、こうした話は、過去にも一部メディアでは取り上げられてきたが、テレビ局にとってはスポンサーであり、新聞や週刊誌などにとっても、大事な販売網である大手コンビニを刺激するような報道はタブー視されてきた。

今回の排除措置命令には伏線があった。07年6月に、国会で日本共産党の塩川鉄也衆院議員が竹島一彦公正取引委員会委員長に対して、「本部が加盟店に値引き販売を制限していること、廃棄処分を出させることで本部が収益を上げていることは不公平取引ではないか」と質問している。これに対して、竹島公取委委員長は 「正当な理由がなく制限することは、独禁法上問題がある。中小企業庁と連携しながらPRしていきたい」と、いわばセブン-イレブンに対して、″警告″を発したのだ。だが、セブン-イレブンはこれに耳を貸さず、見切り販売を行っていた加盟店オーナーに、「見切りをやめろ」「従わなければ加盟店契約を解除する」などと圧力をかけるのをやめなかった(角田裕育「セブン-イレブン帝国崩壊への序章」「サイゾー」8月号より)
この間、ほかにも「24時間営業の強制」など堪忍袋の緒が切れたオーナーたちからの告発や情報提供が公取委に相次ぎ、ついに今年2月、セブン-イレブンへの立ち入り調査が行われ、今回の排除措置命令に至ったのだ。

FC本部は、なぜ加盟店に見切り販売を自由にさせないのか。FC本部は、加盟店に押し込み販売(過剰仕入れの押し付け)をして、弁当などが売れ残り、店側が廃棄処分を迫られても、「ロスチャージ会計」という独特のコンビニ会計方式によって、廃棄した場合の損失は加盟店側が100%被ることになっているから、痛くも痒くもないからである。値引きで売上高が減少すれば、本部のロイヤルティー利益が減るだけである
SEJでは「売上総利益」に43~76%のチャージ率を乗じたものをロイヤルティーとしている。粗利の半分以上を吸い上げているのだ。SEJの加盟店基本契約書では「売上総利益」を「売上高から売上商品原価を差し引いたもの」と表現されているのだが、「売上商品原価」がクセモノである。売上原価(=仕入原価)ではない。「総仕入高-廃棄ロス原価-棚卸ロス原価-仕入値引高」が「売上商品原価」ということだ。つまり、弁当の売れ残りなどで廃棄があった場合、この廃棄された商品の仕入原価にもチャージがかかるということである。簡単な事例で説明しよう。
【売値100円、原価60円のパンを本当は8個が適正仕入量なのだが、10個仕入れ、2個が売れ残り廃棄処分された場合】 本部ロイヤルティーチャージ率50%とする
(売上高)100円x8個(売れた数)=800円
(売上商品原価)60円x10個(仕入れた数)-60円x2個(廃棄ロス原価)=480円
(売上総利益)800円-480円=320円  320円x50%=160円 
本部利益 160円 
加盟店利益 800円(売上高)-600円(総仕入高)-160円(本部利益)=40円
【仕入れが8個ですべて売れて廃棄分がない場合】
(売上高)100円x8個(売れた数)=800円
(売上商品原価)60円x8個(仕入れた数)-0円(廃棄ロス原価)=480円
(売上総利益)800円-480円=320円  320円x50%=160円 
本部利益 160円 
加盟店利益 800円(売上高)-480円(総仕入高)-160円(本部利益)=160円 
適正仕入れ量を超えて過剰仕入れさせても本部にはなんのリスクもない。SEJ本部の巨大利益の源泉が、高いピンハネ率と「ロスチャージ会計」による押し込み販売だといわれる所以である。

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1 コメント

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Unknown (坂本勇人め・・・)
2009-08-17 12:35:23
消費者からしたら値引きされたらありがたいってだけです
値引き販売してた店舗全部の契約解除ってのはえげつないなとw
これで報復じゃないといわれても
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