プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

行き詰まる米軍普天間基地たらい回し

2005-10-04 20:25:14 | 政治経済
1996年の日米特別委員会(SACO)報告で決められた普天間基地移転計画が、9年経っても移転先が決まらず、最近では「日米双方が自らの立場を声高に応酬する事態」(「日経」2005.10.4)となっている。日米両政府は現在、在日米軍再編協議を進めており、10月にも中間報告をまとめる予定であるが、今に至るまで普天間基地の行き先で合意出来ないままでいる。「基地の沖縄県内たらい回し」路線が県民の反対によって行き詰まっているからだ。
名護市辺野古沖への代替新基地建設という最終案は、沖縄県民の体を張った座り込みにあい、海上基地構想を見直さざるをえないところまで追い詰められている。そこで最近日本政府が持ち出したのが名護市の山間部にあるキャンプ・シュワブ演習場内に移設する案である。理由がふるっている。米軍施設内なので反対派が活動しにくいだろうというのだ。ところが、米側はこの陸上案に反対し、規模を縮小してでも辺野古沖浅瀬埋め立て案を主張している。陸上案は既存基地の既得権益の縮小につながるからだ。
日米特別委員会(SACO)は、普天間基地の移転先として(1)シュワブ案(2)嘉手納案(3)海上基地案を検討、県民への影響を考えて海上基地案を「最善の選択」とした経緯がある。辺野古沖案が県民の反対で事実上頓挫し、再び「亡霊」のようなシュワブ案、嘉手納案を持ち出さざるをえないこと自体「基地の県内たらい回し」路線の破綻を示すものではなかろうか。政府は4日にも大古和雄防衛局長を米国に派遣して事態打開の糸口を探るという(「日経」同上記事)。沖縄の稲嶺恵一知事は陸上案にも海上案にも反対を表明している。米海兵部隊は、もともと日本防衛とはなんの関係もない海外“殴り込み”部隊である。普天間基地にはイラク帰りの海兵隊員が多数いる。普天間基地問題の解決は、無条件完全撤去以外にない。

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