プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

阪神タイガース上場―ちょっと方向が違うのでは

2005-10-05 22:05:27 | 日常雑事
村上世彰氏が率いる投資ファンド、M&Aコンサルティングが、阪神電鉄の株式の3分の1超を押さえ、筆頭株主になった。阪神電鉄に対し早速、傘下の阪神タイガース球団の株式上場を提案して来たとのことである。永年の阪神ファンの一人として意見を述べたい。
球団も資本主義社会で生きてゆくためには、一定の剰余がないと昨年来の球界再編成騒動のようなことが起こる。長期安定的に存続するためには、ファンとの結びつきを強め、財政的にも一定の支えが必要である。しかし、村上氏が考える、球団=「公開株式会社」、ファン=「株主」構想はちょっと方向が違うのではないか。
野球球団事業は、利潤極大化をめざす単なる営利事業ではない。それは、文化事業であり、事業形態としては、公益法人とまでは言わないが、非営利目的のまさに中間法人がふさわしい(オーナ企業ーによる閉鎖子会社である現在の形態はそれに近い)。ファンの立場は、株価が上がれば、売却=ファンを離れ、株価が下がれば購入=ファンになるというものではないだろう。われわれファンの立場は、企業ころがし、金ころがしの世界とは、無縁なのだ。
ただ村上氏が提言するファンをもっと球団運営に参画させる工夫については、私も賛成である。但し、「株主」としてではなく、「ファンクラブ会員」としてである。チケット購入優待券、プレミアムグッズの提供、シーズン終了後の選手及びコーチとの交流、優勝祝賀会への招待などは現在の「ファンクラブ」を少し工夫すれば、すぐにでも実現できることである。私自身、長い低迷の時期、なぜもっとファンを巻き込み、球団強化のための寄付募集などの工夫をしないのかと歯痒い思いであった。要するに、球団とファンとの関係は、同窓会、サークルのような中間法人とその会員の関係なのだ。村上氏の阪神ブランドと熱烈ファンを利殖の手段とするような発想は、多くの阪神ファンから総スカンの憂き目に会うことだろう。
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1 コメント

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野球は文化だ! (junko)
2005-10-06 09:17:43
球団とファンとの結び付きを強くする。そのための手段に「株式」というのは

どうなんでしょう?私も疑問です。

スポーツは「文化」なのです。球団経営はその「文化」の一翼を担っているのです!

その自覚を持ってやって欲しいのです!

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