プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

イラク自衛隊―許されない空自の残留

2006-02-22 19:01:24 | 政治経済
イラクのサマワに駐留する陸上自衛隊は三月にも撤退を開始、クウェートを拠点に輸送活動を行っている航空自衛隊は残留―こんな報道が飛び交っています。イラク新政権樹立が難航するなかで、治安維持を担う英軍は5月末にも撤退を完了するといわれています。イラク戦争が国連憲章違反の違法不当な戦争であったことは、いまやアメリカ国内でも多くの人々が気づき始めています。米軍は空軍を中心に長くイラク占領を続けることが予想されますが、国連憲章違反のアメリカのイラク戦争から日本は、ただちに手を引くべきであり、空自の残留は許されません

空自の残留は人道復興支援とはまったく関係ありません。空自の活動は、米軍の軍事作戦を直接支援する「安全確保支援活動」(イラク特措法)です。陸自の「人道復興支援」と性格が違います。

輸送の実態はよくわかりませんが、C130輸送機を送っているのは、米、英、豪、日の四カ国だけです。日本が空輸の相当部分を負担しているとみられます。アメリカは、空自の役割を強化・拡大し、輸送分野で中心的な役割を果たさせようとしていると考えられます。
昨年10月の日米英豪協議で、アメリカは、空自の駐留継続を条件に陸自の撤退を容認する姿勢を打ち出した経過があります。
日本政府は、アメリカの意向を受けて、危険を避けるため事実上イラク南部に限っている輸送をイラク全土に広げるつもりです。小泉首相は、「どの地域でやるかどうかは、独自に判断していきたい」(昨年十二月八日)と国会答弁しています。

アメリカの研究機関「ワールド・パブリック・オピニオン」は今年一月、イラクで1500人のイラク人を対象に占領軍にかんする世論調査を実施しました。その結果は、70%が米軍撤退を要求、多国籍軍駐留反対は82%でした。占領軍が治安改善に役立つというのは1%もありません。米軍が、罪のない民間人を十二万人以上殺害(イラク人道組織「イラキュン」)し、軍事支配を続けていることへの怒りを示すものです(「赤旗」2006年2月21日)。
サマワでも、自衛隊宿営地に何度か砲弾が撃ち込まれ、通行中の陸自の車列が道路爆弾で攻撃を受けるまでになっています。イスラム教シーア派サドル師派デモが、「ノーノージャパン」と叫び投石する事件も起きました。

人道復興支援を本気で考えるなら、NGOが自由に活動できるように、陸自も空自もただちに有志連合から全面撤退するべきです。憲法の平和原則にもとづいて、ODA(政府開発援助)など平和的方法でイラク復興に尽力すべきです。


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