プロメテウスの政治経済コラム

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麻生内閣支持率激減 3人連続での政権放り出しか? 政治の焦点を読めない自民・民主

2008-12-10 20:30:41 | 政治経済
麻生内閣の支持率が、報道各社が行った世論調査で軒並み20%そこそこに急落し、3人連続で政権放り出しの可能性が高まった。これに動揺した自民党内では、政界再編を睨んで、「速やかな政策実現を求める有志議員の会」や「郵政民営化を堅持し推進する集い」が動き出したようだ。しかし、小泉元首相が何を勘違いしたのかしゃしゃり出てきて「3年前の(郵政)選挙がどういう選挙だったか、もう一度思い起こしてもらいたい。不可解な行動をしている方々は『郵政民営化反対は間違っていた』と誓約書まで書いて復党したことを忘れてほしくない」と呼びかけたように、いまの政治の焦点がどこにあるかまるで分かっていない。いまの事態をもたらした主要原因が小泉「構造改革」であることに気づかない能天気には、ホトホトあきれるばかりだ。

麻生首相を自民党の“選挙の顔”として押し出しておきながら、党執行部から「自民党の国会議員の7-8割は麻生政権で選挙をやって与党でいられるか疑問を持っている。麻生政権は政治的にも経済的にも崖っ縁にたっている」(石原伸晃幹事長代理)と声を上げるありさまである。二代続けての政権投げ出しに続いてのこの態はなぜなのか。

小泉首相が「改革の痛みに耐えよ」と「構造改革」の加速化を叫んだとき、マスコミの煽りもあって、長年の不況による閉塞感から国民はこれを熱狂的に支持した。しかし、小泉政権末期には、与えられた「痛み」のあまりのひどさに、国民世論も変化を見せ、後継の安倍首相は、就任直後から「再チャレンジ」をいわずにおれなかった。福田首相はことあるごとに「国民の目線で」「手直し」をしばしば口にせざるをえなかった。しかし、大企業の負担によって構造改革の手直しをするというわけにいかない彼らは、そうかといって消費税増税も国民の反対が恐くてはっきりさせられない。国民の反貧困の運動・後期高齢者医療制度に反対する運動は盛り上がる一方で、ねじれ国会の運営に疲れ果てて政権を投げ出した。

「麻生が、やりぬく」と勇んで出てきた現首相も弱肉強食の「構造改革」路線をどうするのか、まったく腹がすわらない。日本経済「全治3年」論で少なくともこの間は「構造改革」の転換、あるいは、「修正」を明言するのかと思ったらそれもできない。社会保障の毎年2200億円削減は堅持するという。一方で「状況に応じて果断な対応を弾力的に行う」というかとおもえば、3年後には消費税を増税するという。まったくわけがわからない。はっきりしているのは、大銀行、大企業優遇の維持拡大だけ。これでは、数々の失言や失態が仮になかったとしても、支持率低下を食いとめるなど、そもそもできることではなかったのだ

「新自由主義」の破綻が誰の目にも明らかになる中で、世界と日本が危機にどう対処するか、今後の進むべき方向性はどうあるべきか―これこそが今問われている政治の焦点なのだ。

自民党中堅議員の一人は「既成の政治秩序の枠組みでは外交も経済もどうにも対処しようがない。大変動の時代になってくる。しかし、どうすればいいかといわれると、誰にも分からない」と頼りない。
民主党政調幹部は、「米国への輸出依存から内需拡大へと言うが、赤字財政で政府支出はもう増やせない。設備投資は個人消費の伸びにかかっている。個人消費は人口減少社会とモノがあふれる状況の中でどうやって増やすか。『イノベーション』(技術革新)で需要を増やすのは限界がある」と悩みが深い。個人消費拡大のポイントである貧困・格差の解消については「誰かが稼いで富を再配分することになるが、皆が同じように稼ぎ、同じようにペイを受けるのは『永遠の課題』だ」という。「永遠の課題」というのは、「解決不能」というに等しいものだ(「しんぶん赤旗」2008年11月5日)。

小沢氏の側近の一人はこうのべた(「しんぶん赤旗」 同上)。
「民主党の『国民の生活が第一』という打ち出しも、いま資本主義の限界という歴史的位置付けの中で提起することが必要だ。共産党が言ってきたようなことだ。しかし、民主党には『資本主義』という言葉を持ち出すことすら抵抗があり、正面から議論すれば『民主党が壊れる』という懸念が強い。旧社会党系の人びとの間でもこうした傾向は強い」。同氏は、「これは民主党の『宿命』みたいなもの。つまり自民党と同じということだ」とため息を漏らした。

資本主義の限界と国民の政治革新との関係は、これをどう捉えたらいいのかについては、日を改めて考えてみたい。

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