プロメテウスの政治経済コラム

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郵政新社長 斎藤氏  亀井大臣の小沢氏へのゴマすり? 密かに進む小沢独裁体制

2009-11-04 21:11:05 | 政治経済
10月21日、亀井静香郵政改革担当相は緊急会見で、前日辞職表明した西川善文日本郵政社長に代わって、斎藤次郎東京金融取引所社長を後任とすることを発表した。これに対して、「民主党の『脱官僚依存』は嘘っぱちだ」「天下り容認じゃないか」といった声がやまない。
59年に旧大蔵省に入った斉藤氏は、官房長、主計局長などを経て、93年6月、官僚トップの次官にのぼりつめた。大物次官として、そうそうたる天下りの道をたどるはずだったが、細川、小沢氏らの新生党8党・会派政権に肩入れし、退官した95年には、自社さ連立政権となっていたこともあって、冷遇の憂き目に会うことになった。
鳩山首相は、「辞めてから民間で14年間経験がある」などと釈明しているが、斎藤氏は、ずっと旧大蔵省の天下りポストを渡り歩いてきた典型的な渡り鳥官僚に違いない。ジャーナリストの天城慶さんは、「そもそもこの人事には小沢氏の影が見え隠れしている」という(「金曜アンテナ」『週刊金曜日』2009/10/30)。

 斉藤氏は95年5月、次官を退任した後、大蔵省の天下りポストを渡り歩いた。最初のポストは、社団法人「研究情報基金」理事長。同基金は、86年、大蔵省の肝いりで金融機関などがカネを出してつくった法人である。初代理事長は大蔵省銀行局長や財務官を歴任した吉田太郎一氏。代々の事務次官が、次官経験者にふさわしい天下りポストが空席になるまで“雨宿り”や、“腰掛け”とするための法人、と国会で取り上げられたこともあるとおり、実際、斎藤氏の前に同基金理事長を務めた各次官経験者は、西垣昭氏が海外経済協力基金総裁、平沢貞昭氏が国民金融公庫総裁、保田博氏が日本輸出入銀行総裁と、それぞれワンストップして、「わたり」を実行した。斎藤氏の場合も、同基金理事長を経て、95年には、大蔵省所管の財団法人「国際金融情報センター」の顧問となり、2000年5月には、東京金融先物取引所(04年に株式会社化、07年に東京金融取引所と改称)の理事長に就任、今回、日本郵政の社長となるまで9年間トップにいた(「しんぶん赤旗」2009年11月4日)。

 東京金融先物取引所は、89年4月、金融先物取引法にもとづき、主要金融機関の出資によって設立されたもので、大蔵官僚の典型的な天下りポストのひとつ。初代理事長は、研究情報基金の初代理事長で、アジア開発銀行総裁を経た吉田氏で、2代目も大蔵省理財局長退任後、国民金融公庫総裁、日銀副総裁を歴任した吉本宏氏。3代目、斎藤氏の後任として、専務から社長になった太田省三氏も元大蔵省印刷局長である。「14年間民間」といいながら、斎藤氏は、ずっと旧大蔵省の天下りポストを渡り歩いてきた典型的な“渡り鳥”官僚に違いない(「しんぶん赤旗」同上)。
民主党は、昨年3月に福井俊彦日銀総裁の後任人事で、当時の自公政権が推した元財務省事務次官の武藤敏郎氏を国会同意人事を楯に「官僚だった」という理由で拒否している。大蔵省の天下りポストを渡り歩いた今回の斉藤氏は「官僚だった」ということにならないのだろうか。ちなみに、日本郵政の副社長には、財務省出身で内閣府官房副長官補を務めた前日本損害保険協会副会長の坂篤郎氏、元郵政事業庁長官の足立盛二郎氏が新たに就任した。代表権のある社長、副社長の5人のうち、過半の3人が官僚ОBなのだ(小泉「改革」の推進者・奥田トヨタ相談役は社外取締役として残った)。

 亀井氏は、斉藤氏を「優秀な人は優秀だ」、「彼とは考え方も大体同じ」などと言っているが、自社さ連立政権時代に蔵相を務めていた武村正義氏に対し、当時運輸大臣だった亀井氏は、「いつまで斉藤を使っているんだ!あんな悪いやつ、なんで辞めさせないんだ」と責められたという。武村氏がテレビ討論番組で暴露した。ジャーナリストの天城慶さんは、斉藤氏の起用は、小沢氏に対する「サービス」あるいは「ゴマすり」ではないか、という(『週刊金曜日』同上)
斉藤氏は小沢氏と極めて近く、小沢氏の『日本改造計画』の主な著者だという。細川政権の命取りとなった、「国民福祉税」構想(当時3%の消費税を福祉財源を名目に7%にまで引き上げる)は、斉藤氏が94年2月2日の深夜に突然発表したが、法人税引き下げなど「構造改革」に乗り出そうとしていた小沢氏らが背後で決めたことだという。

 小沢氏は、いま来年の参議院選挙に向かって、着々と小沢独裁体制を固めつつある。民主党は2日の党役員会で、業界団体や地方自治体などからの陳情について、小沢幹事長を中心とする党の「幹事長室」で一元的に処理する仕組みを決めた。自民党政権時代の地方利益誘導型政治を今度は小沢軍団が取り仕切るから、票のほうはよろしく、ということだ
小沢氏は、10月30日に会費2万円の政治資金集めパーティーを開いた。「小沢一郎政経フォーラム」と称するパーティーの主催団体は小沢一郎政経研究会。西松建設違法献金事件で起訴された大久保隆規被告(小沢氏の公設秘書)が代表を務めてきた政治団体だ。引き続き、12月15日にも同様のパーティーを東京都内のホテルで開くという。民主党は先の総選挙マニフェスト(政権公約)で、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止を掲げたが、そんなことはお構いなしである。密かにそして確実に小沢独裁体制が進んでいる

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1 コメント

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Unknown (かじ)
2009-11-05 06:08:35
「ひそかに進む」じゃないだろ、「堂々、明白に進む」だろ
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