プロメテウスの政治経済コラム

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野田再改造内閣発足  早く、“増税談合”へとけしかける「朝日」「読売」社説の無茶苦茶

2012-06-04 21:14:45 | 政治経済

消費税増税法案をめぐって、民意を無視した“増税談合”への動きが加速している。6月3日、野田首相は民主党本部で小沢元代表と再会談し、消費税増税関連法案の成立に向け、自民党との「修正」協議に入る方針を提示。そのために、内閣改造を4日に行うことを伝えた。これを受けて、今日の「朝日」、「読売」が揃って消費税修正協議へ一日も早く入れとけしかけた。ねじれ国会のもと、消費税増税法案を今国会中に成立させようとすれば、増税談合・大連立以外に道はないからだ。しかし、もともと野田政権は選挙による国民の審判を受けていない正統性をもたない政権である。消費税増税で、財界への忠誠競争をしている野田政権と自民党に、増税談合をけしかける――支配階級の下僕でしかない「朝日」、「読売」の姿は本当に異常である。「朝日」、「読売」社説は、グズグズする野田政権に苛立っていた財界の声を忠実に代弁しただけだ。

 

「朝日」社説は、次のようにけしかける。

<遅きに失した感は否めない。 それでも、社会保障と税の一体改革関連法案の成立[内実は消費税増税のみ先行]に向け、野田首相がようやく自民党との協調にカジを切る覚悟を鮮明にしたことを歓迎したい。 ・・・

首相にすれば、代表経験者[小沢氏のこと]に礼を尽くす形をとるためにも2度の会談を重ねたのだろう。だが、会談が事実上決裂したのを受けて、首相はいよいよ野党、とりわけ第1党の自民党との修正協議を急がねばならない。・・・ここで、あらためて2大政党に求めたい。・・・互いに譲り合って、まずは一体改革法案の修正協議を急ぐ。合意できた法案は粛々と採決する。合意できないものは自民党が提案する「国民会議」でさらに話し合う[消費税関連法案を優先せよの意味]。>

 

「読売」社説はどうか。

<消費税率引き上げ関連法案の成立に向けて、野田政権は、体制を立て直し、自民党などとの協議を急ぐべきだ。・・・野田首相は、小沢氏との会談継続に見切りをつける時である。首相は会談で、4日に内閣改造を断行する意向を表明した。参院で問責決議を受けた田中防衛相、前田国土交通相の2人らを交代させ、野党との法案修正協議の環境整備を図る契機だろう。法的拘束力のない問責決議の効力を事実上追認するかのような閣僚交代は本来、避けるべきだが、消費増税法案の成立を優先するためには、やむを得まい。・・・

「党内融和」を旨とする輿石氏[民主党幹事長]は従来、党分裂の引き金となりかねない法案採決に一貫して消極的な姿勢を示してきた。輿石氏ら執行部は、法案成立を最優先する首相の意を体する方針で腹をくくる必要がある。与野党協議で早期に成案を得るよう全力を挙げてもらいたい。>

 

そもそも、民主主義の原則からいって、野田政権は国民の信を受けた政権でない。首相と内閣が正統性を得るには、国政選挙で信任を得ることが必要である。野田氏はその信を受けていない【2010年6月に首相になった菅直人氏は、2010年7月の参院選が菅内閣に対する信任投票になることを明言し、選挙の洗礼を受けた。もっとも、この参院選で大敗しながら、3・11のどさくさなどに助けられ、1年以上も総理の椅子にしがみついたことは異常であったが・・】。

国民の内閣不支持率、消費増税反対意見は5割をはるかに上回っている。民主主義の原則に照らして、メディアは、野田氏の暴走を抑止する責務を担っている。野田氏が引き下がらないなら、解散総選挙で国民の信を問うことを主張するのが筋でないか原発再稼働、消費税増税などの重大案件を正統性のない野田政権がゴリ押しするのを見逃すだけでなく、無批判に応援する。そればかりか、野党第一党との野合をそそのかす

 

いくら支配階級が消費税増税を望んでいるからと言って、「朝日」、「読売」社説は、余りにも無茶苦茶でないか。

政治の是非を判断するためには、誰が正論を述べていて、誰が筋違いの主張をしているのかを正確に理解しなければならない。「朝日」、「読売」のようなメディアは退場願うほかない。


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