プロメテウスの政治経済コラム

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ポンペオの訪朝控えた米国務省、ボルトンの「1年以内非核化」に反駁

2018-07-05 17:44:31 | 政治経済

米国の支配階級(軍産複合体とウォール街)が朝鮮半島の冷戦構造を平和的に解消する方向に進めるとは誰が想像したであろうか。傀儡韓国、日本を軍事的、経済的に支配するためにも対中国、ロシアに対抗するためにも冷戦構造の維持には階級の核心的利益がある。

しかし、トランプ大統領は、米朝首脳会談に舵を切った。浅井基文さんによれば、「今回のドラマは歴史の妙味をも実感させる。勇猛果敢の金正恩、剛毅木訥の文在寅、猪突猛進のトランプ、この絶妙な役者のまったく偶然の組み合わせによってのみ今回のドラマが成立した」(http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2018/1039.html)。
浅井さんは、次のようにも指摘する。
「この歴史的ドラマの最大の立役者はもちろん金正恩である。アメリカと対等に渡り合える唯一のカードとして核デタランス確立に邁進(その間は対中関係が谷底まで落ち込むことも厭わなかった)し、カードを手にした年初以来は果敢な外交を展開して、朝中、北南そして朝米の首脳会談を実現させた手腕は、これまた世界の外交史に名を連ねるだろう。」

トランプ大統領の命を受けて首脳会談の次のステージにまい進するポンペオ国務長官。これに対し、対北朝鮮で同じ「タカ派」でも国家安全保障問題担当の大統領補佐官ジョン・ボルトンは少し立ち位置を異にする。もともと「首脳会談がうまくいくとは思えない」というのが、ボルトンの本音である。

ボルトン補佐官は1日、CBS放送に出演して「ポンペオ長官が北朝鮮のすべての大量殺傷兵器(WMD)と弾道ミサイルプログラムを1年以内に実際に解体する方法について北朝鮮と議論するものと確信する」と述べた。訪朝を控えたポンペオ長官に対する圧力ともとれる発言だ。

一方、ボルトン補佐官の発言に対して、ヘザー・ナウアート国務省報道官は3日(現地時間)、定例ブリーフィングで「一部の人々がタイムテーブルを提示したのを知っている」が、「私たちはそれ(非核化)に対してタイムテーブルを提示しないだろう」と話した。ホワイトハウス国家安保補佐官の発言を、国務省の報道官が否定した形である。

今回の米朝首脳会談が、第二次大戦終結後の現代史において、1972年の米中首脳会談(ニクソン訪中)及び1986年の米ソ首脳会談(レイソキャビック)に継ぐ画期的・歴史的な事件である(浅井氏)以上、米政権内に不協和音が生じても当然かも知れない。ただ、南の叔父さんに会いに行くような金正恩委員長と文在寅大統領の会談の様子を見ていると朝鮮半島の分断解消への歴史の歩みをもはや誰も止めることはできないと信じてよさそうである。

 

 

 


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