プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

米軍再編  イラクでも米軍基地の恒久化

2006-05-08 18:49:49 | 政治経済
世界的な在外米軍基地の整理・統合のなかで日本において、在日米軍基地の強化・恒久化及び自衛隊の組み込みを進めるブッシュ政権は、イラクでも基地の強化・恒久化を進めています。イラク軍に自衛・治安能力がつけば、米軍はイラクから撤退するというのは、欺瞞です。傀儡政権を通じたイラク経済や石油資源の支配及び中東地域への介入・干渉拠点としてイラクに常駐基地を建設することはイラク戦争の目的そのものです。イラクでは情勢安定化の展望がみえない一方で、米軍再編の基地戦略の具体化が着々と進んでいます。

ブッシュ政権にとって、フセインが大量破壊兵器を持っているかどうかはどうでもよいことでした。アメリカの支配層は、彼らの長期的利益のために、中東地域に米軍常駐基地を保持することをずっと狙っていました。
2003年のイラク侵攻以降、イラクには10億ドル(千百三十億円)を投じ、14の「永続的」基地を含む約100ヶ所の米軍基地が建設されています。さらに11億ドル超の軍事施設建設予算が請求されています。米議会調査局報告によれば、主要4基地は①バグダッド北西のバラド空軍基地②バグダッド近郊のタジ軍事複合施設とキャンプ・クーク③ティクリットのキャンプ・スパイカー④アスペン基地です―このうち全体の4割以上の資金を投じて増強されているのが、V字形滑走路をもつバラド基地です。面積は横田基地の5・5倍だそうです(「赤旗」06.5.8坂口明記者)。沖縄の名護・新基地もV字形滑走路でした。

イラク軍の治安・自衛能力の養成といっているのは、陸軍部隊のことで、空軍は含まれていません。軍事的に死活的な制空権は米軍がにぎり、空軍は占領を続けるつもりです。バラド基地から発着する無人偵察・攻撃機プレデターは米本土ネバダ州の空軍基地から遠隔操作できます。イラクは、米軍がめざす「ハイテク戦争」の実戦訓練場でもあるのです。
現在、バグダッド中心部では、イラク駐留部隊の司令塔となる新たな米国大使館が約6億ドルをかけて建設中です。新大使館は「世界最大」「史上最大」といわれています。米国は自ら撤退することなどさらさら考えていません。

日本政府と国民が米国に迎合し、駐留経費まで負担しているかぎり、在日米軍基地は強化されこそすれ、軽減されることは絶対にありません。
「アメリカはもはや信頼できる同盟国ではありません。日本にとってもヨーロッパにとっても、アメリカは危険なお荷物です。日本は外交を総点検すべきであり、沖縄・名護への海兵隊基地建設など米軍基地の再編・強化は引き受けるべきではありません。・・・
私は決して反米主義から言うのではありません。私のアメリカの友人の多くも、アメリカに従うことはクレージーだと言っています」(カレル・ウォルフレン/アムステルダム大学教授・ジャーナリスト「赤旗」06.5.8)


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