プロメテウスの政治経済コラム

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大阪市の乱脈同和行政  遅まきながら一部にメス

2006-05-09 18:38:16 | 政治経済
「大阪市開発公社」から管理委託されていた駐車場の収益の一部を着服していたとして、業務上横領の疑いで、財団法人「飛鳥会」(同市東淀川区)の理事長小西邦彦容疑者(72)が、8日逮捕されました。「民以外はみな差別者」だとする立場から、各地でつるし上げ的な「差別確認・糾弾」「研修」の脅しをかけ、同和対策事業の利権をほしいままにしてきた解放同盟(解同)の支部長が逮捕されたのは、2002年に対策事業が公式に終了した後も大阪市の乱脈同和行政が続いていたからです。

同和対策事業は、被差別の環境改善と差別解消を目的とし、1969年に成立した同和対策事業特別措置法により、当初は10年間の時限立法として始まりました。しかし、議会で問題を追及するのが、日本共産党だけということもあって、その後様々な法案が提出され、結局2002年に終結するまで33年間で約15兆円が費やされました。「解同」が事業の利益を独占する利権や、本来事業の対象となる資格の無い者が関係者になりすまして事業の恩恵を受けるえせ行為が問題になるなど、各地の行政に混乱と無駄な財政負担をもたらし、当初の目的を達したのかどうか大いに疑問が残るものです。

今回の飛鳥会理事長の小西容疑者の業務上横領事件も含め、今年一月の「大阪府建設協会」による談合事件や、芦原病院(同市浪速区)への無担保の巨額の貸付金や補助金の不正流用など、大阪市が続けてきた同和行政のゆがみの一端がようやく明らかになってきました。

関淳一・大阪市長は市環境保健局長時代に小西容疑者の運営する老人福祉施設に市職員の医師が再就職する仲介をしていました。小西容疑者と会ったのは、この1回限りで、小西容疑者が山口組系暴力団の関係者とは知らなかったと惚けたことを言っております(「朝日」06.5.9)。

横領事件の駐車場は、JR新大阪駅南側にある西中島駐車場(約3700平方メートル)で、74年8月開業。当初から飛鳥会と随意契約を結んで一年ごとに更新してきました。これまで計約18億円の運営収入がありながら、開発公社が飛鳥会から約3億7千万円しか受け取っていなかったことが公社の内部資料でわかりました。この差額は財団の収入になっており、公社と財団の契約は駐車台数にかかわらず、一定額しか公社が受け取れない異例の内容になっていました(「朝日」インターネット06.02.25)。

「解同」系の民間病院「芦原病院」(大阪市浪速区)に、大阪市はこれまで、総額三百二十億円もの税金を注ぎ込んできました。名目は補助金、貸付金、赤字補てんのための特別貸付金。しかも、貸し付けた百三十億円は何の担保もなく、一円も返済されていません。ことしに入って新たに浮上したのが市補助金の不正使用疑惑。4月22日、市民らが大阪地検特捜部に関淳一市長、磯村隆文前市長らを背任の疑いで刑事告発しました。市長らは病院側に医療機器購入の予定も事実もないと知りながら、不正に補助金を出した疑いがあるとしています。同病院は実際には購入していない医療機器について補助金を申請し、受け取っていた可能性が高いのです(「赤旗」06.5.5)。

大阪市が事業目的がないのに「解同」の言うままに土地を買いあさってきた結果、未利用地は141カ所、11万3千平方メートルにのぼることが、日本共産党大阪市議団の調べで明らかになっています。
大阪市はこれらの土地を、「解同」系の「人権協会」に管理委託し、多額の維持管理費を支払ったり、駐車場として利用させてきました。広大な未利用地を「解同」の利権の対象として利益を得させている実態が浮き彫りになっています。なかには、市の資料では「空き地」なのに、実際は駐車場として使われ、料金収入はすべて「解同」のふところへという土地もあります。

小西邦彦容疑者の逮捕は、遅きに失したとはいえ、「」利権の温床にメスを入れる点で一定の前進と言えるでしょう。長年にわたって、ゆがんだ同和行政を続けてきた大阪市当局や見てみぬふりをする共産党以外の政党の責任にたいし市民の批判が広がるのは当然でしょう。


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