プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

都立三鷹高校・土肥校長の再雇用拒否  政治をただし教育に希望を取り戻そう

2009-02-03 20:45:20 | 政治経済
都立三鷹高校の土肥信雄校長が、3月定年退職後の再雇用を希望しながら東京都教育委員会に不合格にされた。土肥校長は懲戒処分を受けたことがなく、処分歴もない校長経験者が再雇用を認められないのは極めて異例という。理由は簡単である。職員会議での挙手・採決を禁止した都教委の通知を批判したからである。同校長は「すべて法令の範囲でやってきた。なぜ不合格なのか。(都教委を)批判した人間は不合格にするという脅迫ではないのか」と語っている(「しんぶん赤旗」2009年2月1日)。
教育委員会のマニュアルや指示に従って学校の管理運営をするだけの「コンビニ店長」のような校長のもとで子どもたちが生き生きと育つとはとても思えない。政治・経済の立て直しとともに、日本の教育を立て直すには自公政治を変えることがどうしても必要だ

日本の教師に対する国家統制の異常さは国際的にも有名である。国際労働機関(ILO)とユネスコの共同専門家委員会(CEART)は、国際基準である「教員の地位に関する勧告」が守られていないとして再三日本政府と地方教育委員会に対し、具体的な改善内容を勧告している。CEARTは、「指導力不足」と認定した教員を教壇から排除していく政策や賃金と結びつけた教員評価制度が勧告と合致しないとして三次にわたって日本政府に勧告。改善がみられないとして、2008年4月には、訪日調査にまで来ている。また政府は、いくら自由権規約委員会から勧告を受けても、日本の人権保障政策を改善しようとしない。「その国の政治がアホなのは国民がアホだから」と言ってしまえばそれまでだが、経済先進国日本の文化的水準の低さは世界的にも異常である。

その異常さのなかで、“超異常”なのが東京都教育委員会である。都教委が「君が代」斉唱時に職務命令に反して起立しない教員を戒告や減給処分にし、「再発防止研修」と称して「転向」を迫っていることは、つとに有名であるが、06年4月には、学校経営の「適正化」通知を出し、職員会議での「挙手」「採決」を禁止し、司会者や記録者の決め方、記録のしかたにまでこと細かく指示を出した。職員会議での採決が校長の学校運営に影響するようなことがあっては、折角、校長を「コンビニの店長」化して上からのマニュアルや指示どおりに動かそうとしていることが妨害される。すべて教員は都教委のマニュアルや指示どおり動け、というわけだ

学校現場における「自由」や「民主主義」という当たり前のことがどうなってしまったのか。都教委のあまりの異常さに、もの申したのが、都立三鷹高校の土肥校長である。土肥校長は、「適正化」通知の「是非」について都民の前で問いたいと、都教委に「公開討論会」の要請を出した。
「過去の歴史を見ても言論の自由のない組織、社会、国家はことごとく崩壊しています(たとえば、第二次世界大戦前の日本、ソビエト連邦等)。私は、言論の自由は、社会の発展、活性化に絶対に必要で、民主主義の基本だと思っています。・・・しかし貴委員会は、・・都立高校の職員会議において職員の意向を確認する挙手・採決の禁止の通知を出されました。この通知によって、教員には何をいっても意見が反映されないのなら言っても意味がないという空気が広がり、自由な討論がなされず、学校の活性化にもつながりません。生徒に民主主義を教えなければならない学校だからこそ、生徒を教える教員組織は民主的に運営されなければならないと思います。教員に言論の自由がなくなることは、生徒の言論の自由もなくなっていく可能性が高いと考えます。」――至極まともな意見だと思うが、都教委は都民の前での正々堂々の議論を拒否して今日に至っている。

職員会議での挙手・採決の禁止を徹底したことによって、職員会議での一般教員の発言が減り、発言することが難しくなったと感じている教員が多数にのぼっている。
教育現場の自由な気風を圧殺し、政治と行政のトップダウンによる、教育の内容・方法を無理やり押し通す―このような権力行使の体制は、教員採用・昇進の決定・実施の過程にまで及んでいる。今年度から教員免許更新制も実施されようとしている。失職の脅しをかけて時の政府のいいなりにならない教員を教壇から追放しようとしているのだ。
今、燃え尽き症候群が多い職業として教師、介護士、看護士などがよく挙げられる。これらの仕事は対人コミュニケーションと協同性が前提で、かつ際限なく仕事がある。こういう職業については業績評価が絶対に馴染まない。教師の献身性、その誇りをずたずたにして「コンビニ店長」的校長と成果主義に怯える「店員」によって教えられる子どもたち―日本の教育に希望を取り戻すためには、自公政権を転換するほかない


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1 コメント

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教育委員会は何様のつもり〓 (みなパパ)
2009-06-29 22:22:28
先程、ドキュメンタリーのテレビ番組を見て なんだか本当に 教育委員会のありかたに がっかりしました。現在、子供達のイジメ根絶に力を入れている 教育委員会が 自ら 一人の教育者に対し権力という武器で
応戦し 教育の現場には、立てない様に工作している。
こんな古臭い 手法を使ってまでも イジメをするなんて
人間形成の基本である教育が こんな奴らのために 優秀な人材、未来の教育が情熱が 無駄になってしまうなんて残念でまたりません。 今日の教育者には、何があっても我慢し機嫌を取りつつ 穏便に無難に定年を迎えられれば良いと思っている者が多いのも事実だと思います。本当に、このままで良いのか!
教育委員会のトップは、総入れ替えで
この三鷹高校の元校長の土肥さんの様な人材を教育委員会のトップに就任させる事が、今必要だと痛感する。我々は、この問題を風化させてはならない!
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