プロメテウスの政治経済コラム

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「消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」―革新の共同綱領へ国民的討論を!

2012-02-09 20:53:14 | 政治経済

日本共産党が2月7日、「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表した。財界と大手マスコミにけしかけられて野田政権は13兆円の消費税大増税に向かって暴走している。「社会保障と税の一体改革」という名の巨大増税である。野田首相は、消費税大増税について、「どの政権でも避けて通れない」というだけで、「なぜ大増税か、なぜ消費税か」について、まともな説明を一切しない。税制を理解する者ならすぐわかることだが、価格転嫁できる大企業にとっては、消費税は何%になろうと一銭の負担もない税金である。金持ちは消費税を負担するが、多額の所得があるので堪えない。本来、累進課税で負担すべき所得税を代わりに貧乏人が消費税で一律負担してくれるからこれほど有難いことはない。つまり、野田首相は、富の分配方法をめぐる闘いで、強者を擁護し、弱者を痛めつけているわけである。これでは、まともな説明ができないわけだ。今、多くの国民は、野田政権の「一体改革」に批判・不満を持っているが、さりとて、安心できる社会保障をどうやって再生・拡充していくのか、国と地方の財政危機をどうやって打開するのか、そのための財源をどうやってつくるのかについて、確信を持てる代案を持たない。多くの日本人は、戦後、企業主義国家のもとで一貫して、政治は財界中心に動くものと思い込まされてきたので、「財界中心から国民の暮らし中心に政治の姿勢を変えれば、消費税に頼らなくても持続可能な社会保障の充実は可能になるし、同時に財政危機打開の展望も開ける」(共産党・志位委員長)という共産党の提言に躊躇があるだろう。「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」(http://p.tl/yc-S)を政治革新の共同綱領とするための国民的討論を呼びかけたい。

 

日本経済、世界経済の停滞が明らかとなり、東日本大震災の復旧・復興も遅々として進まないもとで、消費税の大増税をやれば、暮らしも経済も財政も壊すことは、経済の素人でもわかることである

今回の共産党の提言は、社会保障の再生・拡充を一気にヨーロッパ先進国並みに引き上げるのではなく漸進的に進める現実的な対応をとることを提言している。したがって、財源計画も漸進的に拡充することを考えている。

社会保障を良くする「第1段階」として、小泉内閣以来の「構造改革」路線で、大きく壊された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」の実行にただちに着手し、今後、8年程度をかけて2010年代末までの達成を目指す。この間の財源は、大型開発や軍事費をはじめ税金のムダづかいの一掃と、富裕層・大企業優遇の不公平税制を見直すとともに、新たに「富裕税」「為替投機課税」「環境税」などを導入することで賄う。企業課税については、当面、来年度からの新たな法人税減税を中止する。次いで研究開発減税、連結納税制度など、大企業向けの優遇税制の見直しに着手する。フランスとドイツの金融取引税を参考に「為替投機課税」を導入する。現行のエネルギー課税を見直し、二酸化炭素の排出量を考慮した「環境税」の導入を進める。相続税対象額で5億円を超える資産に対して、1~3%の累進課税の「富裕税」を創設する。

「第1段階」の「社会保障再生計画」を実行するためには、高齢者の人口増による影響も含めて、平年度で9兆円程度の新たな財源が必要になる。ムダの一掃と富裕層・大企業への応分の負担を求める改革で生まれる財源は、同時期に12兆~15兆円と見込む。

 

ヨーロッパ先進国水準並みの社会保障の拡充を目指す第二段階では、ムダの削減や富裕層・大企業への不公平税制の是正などだけでは財源は足りない。そのための財源は、所得や資産に応じた負担――「応能負担」の原則、累進課税の原則に立った税制改革が必要である。

自民党橋本龍太郎政権時代、国民の反対を押し切って消費税増税など9兆円負担増を強行し、深刻な不況を招き、財政危機を加速させた。野田政権は同じ過ちを繰り返そうとしている。

社会保障の段階的充実と税・財政の改革、民主的経済改革―を同時並行で実行することを提言する今回の共産党案は、現実的で国民の共同綱領になりうるものだ。国民的討論でブラッシュアップすればよい。


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