プロメテウスの政治経済コラム

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諫早湾 養殖アサリ大量死  原因究明を逃げてはいけない 中・長期の開門調査の実施を!

2007-10-22 18:58:57 | 政治経済
養殖アサリの大量死は、各種報道では“赤潮が主な原因”と言われている。これにたいして漁民らは赤潮も原因の一つとしながらも「大きい貝も、小さな貝も一気に死んだ。通常の赤潮での死に方ではない。いままでになかったことだ。(海水の)『貧酸素状態』が最大の原因」と訴えている。8月25日、諫早湾奥(調整池)の北部排水門から予定の三倍(460万トン)の規模で排水された酸欠状態の“汚れた水”が、「貧酸素状態」にあった海水をさらに東側に押し流したために被害が拡大した、というのだ。漁民らは「これは自然災害ではなく、(諫早干拓事業による)人災だ」と強調。「諫早干拓事業の根本的な見直しがされるべきです。このままでは同じことを何度も繰り返すことになる。水門をあけて、海水を入れ、水をかくはんすることが必要です。そうしないと有明海は戻ってこない」と訴える。
県水産部、農林部諫早湾干拓室の担当者らは、調整池の排水とアサリの大量死との因果関係について「直結するとは考えていない」と否定。その一方、「赤潮自体でアサリが死ぬ(全滅)のは見られない傾向だ」とものべ、被害には複合的な要因がある、とする立場である(「しんぶん赤旗」9月5日)。

「本学会は、これまでに得られたさまざまな情報から総合的に判断して、独特な動植物が多く生息する有明海の現状に重大な懸念を抱くに至りました」日本魚類学会(松浦啓一会長)は今年3月、こんな書き出しの要請書を有明海特措法にかかわる6大臣と4県知事、同法にもとづき環境省に設置された「有明海・八代海総合調査評価委員会」(須藤隆一委員長)に提出した
有明再生事業について、諫早湾海底に設置計画中の攪拌ブロック(導流堤)が深刻な影響をもたらす恐れがあるなどと、懸念を表明。注目されるのは、「諫早湾干拓事業が、漁業生産低下の原因である可能性を否定」できないとして、開門調査の実施を促していることである。「有明海産生物を再生させるには、諫早湾奥部に干潟と浅海が存在する原状に復帰させ、あるいはその状態に近づけることが基本です」と強調。農水省がまだ検討していない段階的な水門の開放など「有明海に生物を再生させるための開門方法の検討が是非とも必要」としている。干拓事業の問題で学会がこれだけ踏み込んだ意見表明をしたのは初めてのことである。マスコミは取り上げなかったが、魚類学会の要請は、専門家集団の社会的責任にこたえた重要な意義があると言わねばならない(「しんぶん赤旗」8月12日)。

防災と農地造成を事業目的に謳って強行された諫早湾干拓は、無駄な公共事業の典型である。すでに10年前に事業目的のいいかげんさが鮮やかに暴露されている。1997年の諫早湾の閉め切り直後に現地を訪れた日本共産党の不破哲三委員長(当時)は当時干拓推進の旗を振ってきた高田勇知事(同)と会談。「川が氾濫するというのだったら、上流からの治水対策が問題のはず。それを、川の出口の干拓工事が防災対策だというのは話が違う」「現にある農地を七千ヘクタールも(減反で)遊ばせて、新たにお金をかけて千四百ヘクタールも造るのは意味がない」と不破氏。知事は「コメではなく野菜をつくるつもりだ」と反論した。しかし、野菜の作付け面積も十年間で千九百ヘクタールも減っていると指摘され、知事は返す言葉に窮したのだった(「しんぶん赤旗」5月15日)。
政・官・業」の癒着のなかで無駄な公共事業を進め、自然環境を破壊し、長崎県民や有明海沿岸住民に痛みを強いてきた自民党と長崎県政、それを支えてきた民主、公明、社民の「オール与党」政治の責任が厳しく問われなければならない。開門調査を実施して有明海を救うのか、水門を閉めたままで見殺しにするのか。今、有明海は重大な岐路にある

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