プロメテウスの政治経済コラム

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給油転用問題  「無料ガソリンスタンド」で給油した艦艇の行き先は自由

2007-10-13 18:39:39 | 政治経済

政府自身も、「補給を受けた後に従事する活動の内容は各国が決定するもので、政府として詳細を承知する立場にない」といわざるをえないのが実態である。とりわけ、相手国補給艦への給油は(間接給油)は、最終的な給油先をつかみようもない。海上阻止活動だけでなく、アフガン、イラクの戦争支援やイランへの威嚇など一体的に軍事作戦を遂行している艦隊が無料で提供されたガソリンをどの活動にどれだけと割り当てることなどできるはずがない。だから、海自の補給艦「ときわ」が米補給艦に補給した燃料が、イラク作戦に向かった米空母「キティホーク」に再補給されたが、ペルシャ湾に着く前に3日間で消費してしまったから、イラク作戦に転用されたことにならないというような子ども騙しみたいな話になるのだ

海自が補給した艦隊がいつ、どのような作戦に従事したか、米海軍のホームページなどである程度把握できる。海上自衛隊補給艦「ときわ」は、03年2月25日午前中に米給油艦ペコスに給油し、午後は米イージス駆逐艦ポール・ハミルトンに直接給油した。米海軍ホームページによると、ポール・ハミルトンの当初の任期は03年1月までで、それ以降は「イラク南方監視と『イラクの自由作戦』(イラク戦争)および米軍によるイラク占領へのさらなる支援のため、展開が延長」された。「ときわ」から給油を受けたときには、03年3月20日に開戦したイラク戦争のための作戦(南方監視作戦)中であった。ペコスに給油した分は、ペコスからイラク戦争の主力艦となった米空母キティホークと米イージス巡洋艦カウペンスに給油されたことは、すでに判明している(「しんぶん赤旗」10月13日)。

米海軍強襲揚陸艦「イオウジマ」を中心とする遠征打撃群(ESG)は昨年6月6日から12月6日までの6カ月間、地中海・インド洋周辺海域に展開。このうち7月4日から11月8日までの4カ月間は、対イラク作戦と対アフガン作戦を統括する米中央軍の担当地域に入った。ESGのこの航海の中心任務は、アフガン・イラク両作戦を直接支援することとされている。自衛隊の補給艦「ましゅう」が昨年9月4日にアラビア海で「イオウジマ」に給油したこと、その後イオウジマ搭載のハリアー機がアフガン空爆のために136回の攻撃飛行を実施したことは、すでに明らかにされている米海軍ホームページによれば、「ましゅう」は、昨年9月22日にも、「イオウジマ」に給油している。米海兵隊の「海兵隊ニュース」同年12月4日付によれば、ESGはその後、10月上旬までにペルシャ湾に入り、イオウジマ搭載の垂直離着陸攻撃機ハリアーが、イラク南部のバスラ周辺で駐留英軍部隊を支援する活動をしたいずれにしても、ESGが自衛隊が支援対象にするとしている「海上阻止活動」を実施した形跡は見当たらない(「しんぶん赤旗」10月11日)。

日本政府が限定をつけようとしても、限定のつけようがない活動を米軍はやっているわけだから、インド洋での給油が戦争と無関係、「海上阻止活動」だけ、ということはありえない。戦争の後方支援は、まさしく兵站活動であり、国際的には集団的自衛権の行使の範疇に入る。NATOは、集団的自衛権の行使として、アメリカのアフガンでの報復戦争に参加した。
政府・与党が延長を狙う海上自衛隊のインド洋での米軍支援も、民主党の小沢代表が主張しているアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)への参加も、憲法違反である。ISAFは治安回復といいながら、アフガンで「地上軍」として戦闘を展開している。国連決議があろうとなかろうと、海外で武力行使につながることは、憲法九条違反なのだ。


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