プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

教育基本法  長野・辰野高校の場合

2006-07-28 18:30:58 | 政治経済
教育基本法が学校現場でどのように息づいているか。本日(7月28日)の「しんぶん赤旗」は、長野県立辰野高校の場合をレポートしています。生徒たちは、憲法と教育基本法に基づく教育実践によって偏差値には表れない力を身につけています。

教育基本法は第一条(教育の目的)で「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として・・・、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」を謳っています。辰野高校では、この教育基本法の精神を生かして1997年に、生徒、父母、教職員からなる三者協議会を設置します。学期ごとに年三回の協議会を開き、それぞれが要求を出し合い、自分たちのめざす学校づくりを進めてきました。

校則も三者協議会の場で議論され、生徒からの要望を入れて「土日・祝日のアルバイト」が許可されました。平日も許可すると部活動や家庭学習に差障りがでるのではという父母、教師からの意見を生徒会で自主的に議論するなかで納得のうえで、校則を変更しました。校則を話し合いで変えることで、生徒は、ルールをつくる権利と守る責任を身をもって学びました。無断でアルバイトする生徒は激減しました。

三者協議会は授業の改善にも取り組みます。「生徒からの要望」、「教師からの要望」がそれぞれ提出され、教師の側でも授業改善を集団で研究しました。三者協議会にずっとかかわっている宮下与兵衛教諭が語っています。「生徒はお客ではなく、学び成長する主体です。生徒の一方的な評価でなく、双方で要望を出し合うことで、生徒と教師の間で対立でなく、話し合いが生まれた」

三者協議会は、地域の人たちと話し合う「辰高フォーラム」に発展しています。茶髪や、服装、ごみのポイ捨てなどについても、率直に出し合い、開かれた学校づくりをめざしています。通学路にごみ箱を設置し生徒が回収したり、商店街と協働でフリーマーケットをやるなかで、辰野高校の生徒は、社会の主権者として考えたり、意見表明をする力を着実に身につけているのです。

日本高等学校教職員組合が全国九千人の高校生を対象に「憲法」について行ったアンケート結果(04年)で、辰野高校は八割の生徒が「憲法九条は変えないほうがいい」と答えました。全国の結果は43・9%でした。また、「十八歳選挙権」については辰野高校は賛成が48%で全国平均の二倍でした。

辰野高校の生徒は、三者協議会の実践を通して、憲法や教育基本法の精神である自主的な主権者の意識を自然に学んでいます。社会にでたときに一人ひとりが、社会の主人公として自分の頭で課題を見つけ、考えることができる力を身につけること――これが教育基本法に沿った教育です。

権力に盲従するか、強者に身をゆだねる人材を育成すること――これが教育基本法「改正」派の狙いです



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