プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

暴利を貪るサラ金  裏で支える大手銀

2006-03-16 17:41:44 | 政治経済
量的緩和による余剰資金を大手銀行が系列サラ金に低利で貸付け、サラ金会社が高金利で莫大な利益をあげる構図が、15日の参院予算委員会であきらかになりました。その背景には、政治献金を通じた貸金業界団体と国会議員との癒着があります。

日本共産党の大門実紀史議員は15日、参院予算委員会で、法の“抜け道”を悪用し暴利をむさぼる仕組みを追及し、「グレーゾーン」(灰色金利)撤廃を求めました。、「グレーゾーン」金利とは、刑事罰の対象になる出資法の上限金利(年29・2%)と、罰則のない利息制限法の上限金利(借入金額により15―20%)の間の金利のこと。

利息制限法を上回る金利は本来、無効ですが、サラ金会社や大銀行は、借り手の自由な意思による返済なら認めるという貸金業規制法の特例を悪用。利息制限法を上回る高額の利子を取り立ててきました。利息制限法の上限金利(借入金額により15―20%)にかかわらず出資法の上限金利(年29・2%)まで事実上、罰則なく有効とされたのです。

武富士、アコムなどのサラ金大手は大銀行などから1%台の金利で調達した資金を20数%で貸し付け、莫大な利益をあげています。

サラ金に低利で資金を貸しているのは大手銀行グループです。その大手銀行系のカードローンも、キャッシングでは利息制限法を超えて高金利(27・8%)を押しつけています。 三井住友とプロミスが共同で出したカラーの新聞広告を示しながら、大門氏は「三井住友はプロミスを傘下におさめ、銀行とサラ金が一体となった姿だ。優良な客には三井住友のカードで貸し、リスクの高いところはプロミスに回している」と指摘。同じように三菱東京UFJグループはアコムを、みずほグループは武富士をそれぞれ傘下におさめています。
「大銀行がサラ金と一体となって消費者金融に乗り出している。量的緩和で銀行にジャブジャブ供給したお金がこんなことに使われている。どう思うのか」と大門氏。与謝野馨金融担当相も「近ごろ不愉快なことは高金利のサラ金業者のテレビCMと、かつて一流と思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出していることだ」と述べざるを得ませんでした

サラ金が暴利を貪る背景には政治献金を通じた貸金業界団体と国会議員との癒着があります。1983年に貸金業規制法を制定したとき、同法の提案者だった自民党の大原一三議員(当時)は国会で「いろいろの法的規制をいままでの規制のない状態から入れていく手前、その身代わりとして43条の規定(グレーゾーン金利の容認)を入れた」と述べています。大門氏は「64年、68年に利息制限法以上の高金利を否定する最高裁判決が出ていた。それを骨抜きにする法律は政府から提案しにくいため議員立法になった」として、議員立法の悪い例だと批判しました。

現在、「グレーゾーン」を事実上無効とする今年1月13日の最高裁判決を受け、「グレーゾーン」撤廃が迫られるなか、業界の政治団体・全国貸金業政治連盟(全政連)は利息制限法の上限引き上げさえ主張し、政界工作を強めています。大門氏は、自民党内の「金融サービス制度を検討する会」や、超党派の議員連盟の中心メンバーが、各県の貸金業界団体の顧問になり、パーティー券まで買ってもらっている実態を告発。有利になるように質問しただけで受託収賄罪に問われるのに、立法すれば大変なことになるとして、「高金利の引き下げを求める国民の要望は強い。最高裁の判決にまっすぐにこたえるのが国会の仕事だ」と迫りました。



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