プロメテウスの政治経済コラム

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中国遺棄化学兵器処理  毒ガス処理費の血税はどこへ PCI事件

2007-11-05 19:13:15 | 政治経済
中国大陸には、旧日本軍が遺棄した約七〇万発もの化学兵器が今も眠っており、これら遺棄化学兵器が中国国民に死傷を含め甚大な被害を及ぼした例も多数報告され、日本政府に対して訴訟も起こされている。毒ガス兵器を一日も早くかたづけることは、日本の責任である。しかし、この大事な事業の裏で、不正な経理が行われ、血税が問題企業によって食い物にされていた
中国の遺棄化学兵器の処理事業をめぐり、「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)が、発注者の内閣府に無断で業務を再委託したグループ会社に計約1億1000万円の利ざやを得させていたことが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は、そのうち使途が不明になっている約9000万円を不正に流用した特別背任の疑いで関係先を捜索。委託業務に実態がなかった疑いがあるとみて調べている。関係者によると、PCIのグループ会社「遺棄化学兵器処理機構」港区)は04年度、中国の遺棄化学兵器の処理事業を約76億円で国から受注した。この事業の一部は約3億円で機構からPCI・日揮共同企業体に委託された後、グループの土木建築会社「パシフィックプログラムマネージメント(PPM)」(千代田区)に約2億7000万円で再委託された。さらに、PPMは04年9月~05年3月の間、3回に分け、これらの事業をグループ外の都内の建設設計会社など4社に計約1億6000万円で発注。PPMはこの取引で差額の約1億1000万円の利ざやを得た形となっている。
内閣府遺棄化学兵器処理担当室によると、丸投げを防ぐために業務の再委託は原則として禁止されているが、「遺棄化学兵器処理機構」からPCI・日揮共同企業体への再委託については、技術力を評価して例外的に承認がいらないとの特約をつけた。だが、PPMへの再委託については報告を受けておらず、「事実であれば、契約違反の可能性がある」としている(「朝日」10月22日10時02分)。

一連の取引と関係者の話を総合するとPPMへの再委託はPPMへ利益を落すための架空取引の疑いが濃い。まず問題は、PCI・日揮共同企業体に事業を再委託した、PCIのグループ会社「遺棄化学兵器処理機構」(港区)である。同機構は04年度から3年間、処理事業総合管理業務など8件、約230億円を随意契約で受注。このうち3件216億円分の業務をPCI・日揮共同企業体に再委託。そのなかで25億円の差額を得ていた。PCIは、ODA事業での不正経理が発覚し、06年3月までの間に外務省、国際協力機構(JICA)などから計18カ月間の指名停止処分をうけていた。このためPCIは同じグループ会社の同処理機構の下請けに入る形で事業を継続していたのだ。この仕組みを作ったのがPCIの元社長で、当時PPMの社長であった荒木民生氏である。複数のPCI関係者の話によると、荒木氏は、「遺棄化学兵器処理機構」設立直後の04年6月ごろ、同社幹部に「機構が事業を独占受注できるようになったのは、自分の力だ」などと強調。その見返りとして、当時自分が社長を務めていたPPMに3億円を支払うよう要求したという。PCI幹部は、要求に応じるため、委託された事業の一部を、PPMに再委託スルーさせることで資金を落とすことを計画。PCIはPPMに架空の技術者派遣費用を支払い、架空費用分を機構経由で内閣府に水増し請求したというわけだ(「読売」10月22日3時3分)。

処理事業は総額1千億円をこえるという大規模事業。04年度以降の処理事業八件は、すべて「遺棄化学兵器処理機構」がいずれも随意契約で受注。予定価格が設定されておらず、PCIグループの思いのままである同機構の下にPCIが共同企業体の形で入り、おなじグループのPPMをスルーでからませる。日本共産党の吉井英勝衆院議員は衆院内閣委員会で「だれが見ても問題企業との間の異常な契約。国の責任は明確であり徹底的に解明すべきだ」と指摘した(「しんぶん赤旗」10月27日)。
戦後処理の大義名分で、血税が食い物にされる。これでは、「中国にとって化学兵器処理事業は政府開発援助(ODA)に代わって日本からカネを引き出すカード」だと非難する反中国派に格好の攻撃材料を与えるようなものだ。

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Unknown (Unknown)
2009-07-20 03:35:41
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