プロメテウスの政治経済コラム

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防衛利権の黒幕 秋山氏初めて公の場に  政軍財癒着の解明どこまで?

2008-01-09 20:15:18 | 政治経済
「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀常勤理事にたいする8日の参考人質疑―防衛族議員、防衛省官僚と軍需産業の癒着ぶり、不透明なカネの流れはどこまで解明されたか?秋山氏は、日米の軍需産業と政界のパイプ役といわれている。同氏が事実上運営するこの協会には、久間章生・元防衛相や額賀福志郎・元防衛庁長官ら防衛族が理事になっていた。協会は日米の交流事業を表看板にしながら、内実は政官界と軍需産業をつないでいたのではないか。秋山氏は落ち着いた態度で例によって「そういう事実はございません」、「記憶にはございません」をくり返した。否定したことは、逆に大方事実なのであろう。参考人質疑の限界である。最低、関係者の証人喚問が必要であろう。防衛省に限らず、何兆円と発注する官公庁に業者が群がらないはずはない。自薦他薦の政治家、官僚、工作人が暗躍する利権構造にメスを入れるためには、特捜部に期待するほかない。

軍需企業が、今後の企業活動の力点を決めるために、防衛省高官や防衛大臣、防衛族議員などに接触することで、自己が関係する情報を取りたいのは、自然の成行きである。8日の参考人質疑の端々から、秋山氏が、日米の軍需産業と政界のパイプ役となっていたことは、間違いなさそうだ。前防衛事務次官の守屋武昌容疑者が、秋山氏から「大臣と飲むから来ないか」と誘われたと証言した件については「事実はございません」と否定したが、石破防衛相や久間元防衛相、額賀財務相と軍需企業の接待の席に秋山氏がしばしば同席していたことを昨日の参考人質疑でも語っている。

秋山氏と久間氏とにはこんな接点もある。久間氏が設立した軍事情報会社「アイメック」。この会社への入会要件には「軽井沢クラブ」への入会が条件であるが、「軽井沢クラブ」と、秋山氏が顧問を務める「アドバック・インターナショナル・コーポレーション日本支店」の所在地は同じマンションである。日本共産党の大門実紀史議員が「久間氏から手伝ってほしいなどの相談を受けたことは」とただすと、秋山氏は「そういうことはない」と否定してみせた(「しんぶん赤旗」2008年1月9日)。
秋山氏は、日本の軍需企業を米国要人につなぐ場合、自身が顧問を務める「アドバック日本支店」をコンサルタント会社として紹介して、アドバイザー契約を結ぶことを勧めていたようだ。複数の日本企業がアドバック社をアドバイザーとして、「契約をいただいている」と語った。秋山氏は「月にして顧問料百万円」を同社から受け取っているということである。また日米平和・文化交流協会への企業からの入金が2006年は突出して多く、五千万円以上の不明な入金があることも大門議員の指摘でわかった。大門氏の「どの企業からの入金か。三菱重工業は五十万以上か」との問いに、「三菱が大きいことはない」と答えた(「しんぶん赤旗」同上)。

秋山氏が常勤理事として取り仕切ってきた日米平和・文化交流協会。外務省所管の財団法人として助成金を受け取っているが、理事には防衛族議員や防衛省OB、軍需企業幹部が名を連ね、会員企業も日米の軍需企業が大半である。秋山氏は、同協会の「付属機関」である安全保障研究所の事務局長も兼任している。秋山氏は、「防衛ということに限定されると非常に困る。私は日米全体の交流を促進したいと一生懸命やってきた自負がある」というが、実態は政界、官界と日米の防衛軍需産業をつなぐ役割をしているのは間違いない。
山田洋行が、米国の防衛装備品メーカーの代理店権を他社に奪われそうになったとき、これを防ぐため、山田洋行は自民党の防衛族議員から元米政府高官に、米メーカー側への働きかけを要請してもらった。このときも、秋山氏側が動いたようだ。報酬なしということは、通常ありえない。

毒ガス処理事業の実績がない日米平和・文化交流協会(当時・日米文化振興会)が、福岡県苅田港で見つかった遺棄毒ガス弾の処理についての調査業務を2003年に防衛庁(当時)から受注した件には裏がありそうだ。秋山氏は「調査の内容は役所(防衛庁)のほうからの要望もあり、入札に参加したことは事実だ」と答弁。防衛庁の「運用課」との打ち合わせのもとでの入札参加だったことを明らかにした(「しんぶん赤旗」同上)。
本件では、問題の山田洋行が下請けに入っており、受注フォーメーションがあらかじめ決められ、裏金の流れもできていたのであろう。

東京地検特捜部は、守屋武昌―宮崎元伸容疑者をめぐる汚職事件に関連して「日米平和・文化交流協会」を家宅捜索し、秋山氏周辺の資金の流れを捜査しているという。どこまで、事実関係が解明されるか注目しなければならない。

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