プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

今日のメディア状況と「しんぶん赤旗」 日本や世界の底流を知る貴重な情報源

2006-07-23 16:34:11 | 政治経済
「しんぶん赤旗」が、きょう7月23日、1928年2月1日の創刊から、戦前の天皇制政府の弾圧、戦後の占領軍の弾圧による中断の時期を乗り越えて通算で二万号を迎えました。大手マスコミが「戦後の後遺症」を払拭して大政翼賛化を強めるなか、日本や世界の底流をまじめに知ろうとすれば、共産党に対する立場を超えて、いまや「しんぶん赤旗」はなくてはならない存在です。「赤旗」の魅力はなんといってもどんなタブーにもとらわれないということでしょう(共産党の機関紙としての性格も持っているので共産党の組織運営とか理論政策にかかわる記事も当然ありますが、厭なら読み飛ばせば良いのです)。

日本のマスメディアは、戦後の出発点にあたって、戦前、権力に加担し民衆を侵略戦争に駆り立てという深刻な反省のうえに立って、民衆のメディアとして、民主主義のために奉仕することを誓って再出発しました。日本社会も、侵略戦争や戦前の軍国主義の過ちを教訓にして、平和、国民主権、基本的人権、社会福祉、教育の政治からの独立などの諸理念を憲法に結実させました。しかし、理不尽で悲惨な戦時体験が徐々に空洞化するとともに、そのような「戦後の後遺症」を払拭して再び軍事大国日本を取り戻そうという動きが、特に1990年代初頭ごろから強まります。「そうしたなかで、メディアが本来あるべき権力の監視者どころか、その共犯者の役割を演じる状況」になってきているのです(ジャーナリスト・松田浩「赤旗」2006年7月23日)。

松田さんは、今日のメディア状況の特徴を次の三点にまとめます(「赤旗」同上)。
第一は小泉流「劇場型政治」を通じて、テレビを中心にメディアが徹底して権力の世論操作に利用されていることです。権力監視機能の後退が、共犯者としての役割を演じさせる結果を招いているのです。
第二は、テレビの基幹メディア化とコマーシャリズムの支配です。メディア企業は本来、「資本の論理」(コマーシャリズム)と「ジャーナリズムの論理」(公共的機能)の緊張関係のうえに成り立っていますが、「ジャーナリズムの論理」が後退した結果、コマーシャリズムが独り歩きする形になっています。
第三は、その結果、生じている社会全体の閉塞(へいそく)状況の問題です。社会の矛盾や問題点が山積しながら、ジャーナリズムが機能しないため、問題の根源がどこにあるのか現状打開の方向が見いだせない。
日本でも経済生活の悪化とともに大衆の閉塞感が偏狭なナショナリズムに誘導される危険が高まっています。

高田公子・新日本婦人の会会長は、国民の知る権利にこたえ、国民の声を伝えるメディアの本来の役割を果たしているのは、「赤旗」だけだと言います。
六月にカナダのバンクーバーで開かれた世界平和フォーラムに、新婦人の代表を送りましたが、本人たちが帰ってくる前に「しんぶん赤旗」を通じて、「戦争のない世界は達成できる。そのために各国政府は憲法九条のように憲法で戦争を放棄するよう呼びかけよう」と訴えたアピールの採択が報じられ、運動をすすめる私たちに希望と展望を与えてくれました。残念ながら他のマスメディアには「しんぶん赤旗」のような報道はありませんでした。イラク戦争反対の地球をおおうようなたたかいのひろがりを報じたのも「しんぶん赤旗」だけでした。中南米での、新自由主義と格差社会に反対し、民主的な政治をめざす一連の流れについての報道もそうです。他の新聞では世界の流れが読み取れません(「赤旗」同上)。

奥原紀晴・赤旗編集局長は次のように胸を張ります。
「赤旗」は、歴史の節々で、国民にしらせるべき真実をしらせる役割を果たしてきました。とくにマスメディアだけでなく、日本の社会にあったいろいろなタブー、たとえば天皇・皇室や占領軍にたいする「菊タブー」や「星タブー」にはじまって、創価学会への批判を許さないという「鶴タブー」、“今太閤(たいこう)”ともてはやされた田中角栄元首相にたいする「角タブー」、「解同」(解放同盟)による暴力、利権あさりにたいする「解同タブー」などを正面から打ち破りながら、ジャーナリズムとしての活動を前進させてきました。自分でいうのは面はゆいんですが、いまの日本でほんとうに大事なこと、知りたい情報を得ようとすれば「しんぶん赤旗」でこそという役割をはたしつつあるのではないかと自負しています(「赤旗」同上)



最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
NHKもなかなかよい報道をしている (如何様)
2006-07-24 22:53:52
先日のチャベス大統領の番組は、世界の潮流を知る点で良い番組でした。アメリカおよび小泉自民党が主張する市場原理主義は。世界では完全に破綻しており、別な潮流ができつつあります。

福田が自民党総裁選に立候補しない(といわれている)のは、来年の参議院議員選挙での大敗が織り込み済みと考えているかもしれません。それに対して貧乏くじを志願して引こうとしている者がいますね。愚者は歴史を顧みず常に誤った選択肢を選ぶものです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。